中編てきなモノ
□A
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グールのハルバードは、蒼の首を斬ることはなかった。
もっと言うと、首元にも及ばなかった。
止められたのだ。
蒼によって。
蒼はハルバードを素手で受け止めた。
刃の部分が手に食い込むというのに。
利き腕がやられるというのに。
ポタポタと地面に蒼の血が垂れる。
「―――」
何かを呟いた直後、蒼の霊圧が今までより格段に上がった。
その霊圧は、隊長格にも匹敵するだろう。
バキッ
手に食い込んでいた部分のハルバードを折った。
というより、砕いたという方が正しいのかもしれない。
刹那、蒼は落ちていた二つの両刃剣を拾いながら立ったとほぼ同時にグールの腹部に白い方の剣で斬波を打つ。
「がっ・・・!!」
そのまま吹っ飛ばされて、木によって乱暴に受け止められたグールは重力に逆らわず、落ちていく。
「フッ・・フフフ・・・・ハハハ・・・・アハハハハ、ギャハハハハハ!!!」
天を仰ぎながら笑う蒼に、一瞬恐怖を感じた。
まるで、悪魔のようで。
「グール!!・・・貴様ぁ!!」
俺の六杖光牢を力ずくで解き、蒼に虚閃を放つ。
「刈れ[風死]!」
体勢を立て直した後、始解をして風死を虚閃に向かって投げた。
風死はちゃんと虚閃に命中し、蒼に当たることを防いだ。
しかしユフィは俺の行動が目的だったと言わんばかりに、俺が虚閃に注意を払っている隙に蒼との距離を縮める。
「死ねぇ!!」
ゼロ距離から虚閃を放とうとしたユフィに思いっきり、何の躊躇もなく黒龍を蒼は振った。
ユフィの首が見事なまでの弧を描いて落ちる。
行き場を失った体が蒼に力無く寄りかかろうとしたが、
「ハハッ・・・・」
首を失った体が、切り刻まれる。
そして元々体を作っていたであろう物体が無残なまでに地面に音を立てて落ちた。
これで、敵はいなくなった。
しかし、これが終わりではなかった。