中編てきなモノ

□C
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「おい、」

横から声がした。

反射的にその方向を見ると、龍虎と酷似した男が立っている。

龍虎と違うのだ。
龍虎の場合はスーツとネクタイが黒でワイシャツが白だった。
が、今いる男は全て白い物をまとっている。

そして、龍虎は左目が正常で右目がいかれていたが、この男は違う。

両目とも正常な目をしている。

「蒼の斬魄刀の片方である白虎だ」

なるほど。
卍解した時に二人に分かれるのか。
だから両刃剣も二つ。

「そんなに叩いたところで、蒼は助け出せねぇぞ」

龍虎と同じ、いや、龍虎よりも冷徹と感じられる声で言い放たれる。

「うるせぇ」

俺は今の白虎の言ったことに苛立ちを覚えた。



黙れ。

本当は俺も分かっている。

でも認めたくない。

蒼を救いたい。

でもどうすればいいか分からない。



苛立つ。

自分の弱さに。

自分の無力さに。



「檜佐木修兵、蒼を救いたいか」

「?」

「救いたいかと聞いてんだ」

「・・・」

声の代わりに深くうなずく。



「なら、俺を使え」



「は?」

「俺の力は黒龍と唯一対抗できるようになっている。
しかしこんなでかい闇の柱を吹き飛ばすことは不可能。
だが、この闇の中に入らせることぐらいならできるぜ」

白虎は俺ではなく闇の柱を見ながら説明する。

こいつも主人のことを心配してるのかもしれない。

「通常なら俺を使えるのは蒼だけだが、お前とあいつは似ている。だから使えるかもな」

「・・・・・・賭けってことか」

「そうなる」

ここで白虎を使えなければ蒼は救えない。

しかし使えれば―。



「使う。そして蒼を助ける」



「分かった」

最初から分かっていたような口ぶりで白虎は返事をする。

「ただし時間はあまりない。
この闇の柱がここから消えるまでに蒼を助け出せなかったら、二人して闇に堕ちる」

制限時間付き。

だからといって諦める理由にはならない。

「助け出すって言ってんだろ?早く刀になれ」

立ち上がりながら俺は言った。

「・・・あぁ。貴様を信じる」

そう答えて白虎は一瞬の内に俺の手の元に真っ白な刃だけの両刃剣に変形して来た。



・・・持てる。



よし、使える。



待ってろよ、蒼。



俺は闇の柱を切り裂き、中へ入っていった。
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