中編てきなモノ

□B
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「ゲホッ」



蒼が血を吐く。

それに対して俺は何も声が出ない。



ただ見ているだけ。



「大丈夫ですか?檜佐木さん」



何で俺のこと心配してんだよ。

危ない状況なのはお前だろ?



「アハハ・・・・・。やっぱ卍解なんかするんじゃなかった」



笑っている場合かよ?



「自分の狂気が暴走する可能性がすごく高いから・・・」



こんな時でも冷静になってんな。

俺に説明する前に、自分のこと考えてくれ。



「そのせいで檜佐木さんに迷惑かけたっていうか・・・・殺しかけた」



もう元の蒼に戻れたんだ。

だからいいじゃねぇか。



「馬鹿っすよね・・・。人守るとか言って、最終的にはこれだ」



馬鹿じゃねぇって。



「・・・だから、もう二度と人を傷つけないため、ウチは、死ぬ・・・・・いや、



闇に堕ちる」



蒼の言葉が合図となったと言わんばかりに、蒼の周りに闇の霧が渦巻き始めた。



「黒龍の刃が固体に触れると、触れた場所から闇が現れ、その状態が続くと闇にその固体を堕とすことができる」



まさか・・・・。



「もちろん、人でも。だから・・・・」

「やめ・・・ろ・・・」



笑いながら話す蒼。

こんな状況で笑ったら―



「ウチは闇に堕ちる」

「行くな・・・」



まるで―





「さよなら、檜佐木さん」





一生会えなくなるみてぇじゃねぇか。





「蒼ー!!」





そして、蒼は闇に飲まれた。










残ったのは、闇の柱だけ。
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