中編てきなモノ

□姉
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(クロ目線)

姉ちゃん!!

えっ今蒼はいきなり立ち上がって何て言いました?

教室に入って来たきれいなお姉さんを何て言いました?

ふんわり白いミニワンピースに足首の出たジーパンをはいた髪の長い女の人を何て言いました?

ネエチャン・・・?

てことは、あの、女の人は、

蒼のお姉ちゃん。

全っっっ然似てねー!!!

「何でここにいんの!?」

「ダメだったかしら?」

「ダメだろ!!」

「でも私はこの学校のOBよ?」

「うっ・・・」

「卒業生が来ちゃダメ?」

「いや・・・・」

「じゃあいいじゃない」

「・・・・・はい」

話し方も女らしいよ!
笑ってるよ!
にこにこ爽やかな笑顔だよ!
男っぽい蒼とは全く違うよ!

あの、質問。

こんなに似てない姉妹っていますか?

答え、いますね。
だってここに存在するんですもん。

しかも今蒼が言いくるめられてたよね?

・・・・・前代未聞だわ。

「あら?そちらにいるのは先生じゃ・・・」

そう言いながらウチらに近づいてくる。

あー、近くで見るともっときれいだ。

そして今までのことをぽかーんと見ていた檜佐木先生と向かい合い、

「いつも蒼がお世話になっております。姉の翠です」

「あぁ・・・六回生A組担任の檜佐木修兵です」

「あの、ウチの妹は迷惑かけていないでしょうか?」

「いえ。黒鳥さんは―――」

何か知らんけど檜佐木先生の対応が大人だー!!

いつものヘタレとは大違いなんだけど。

あっ今のうちに放心状態の蒼を引っ張って、

あの人本当に蒼のお姉ちゃん?

そうだけど

するとシロも入ってきて

超かわいいね。飛びつきたくなる

「「黙れ変態」」

こんなときでも変態発言か。

一つ忠告しておこう

何?蒼

あの人は心を勝手に読むからな

なるほど。そこは似てるのね。

「ねぇ、蒼」

「なっなな何?」

「そんなに驚かなくてもいいじゃない」

「いや、いきなり呼ばれたからさ・・・」

「まぁそれ以外にも理由があるでしょ?」

「・・・・・はい」

「そう固くならないの。からかっただけなのに」

黒鳥家って読心術でからかうんだ。

「じゃあ勉強頑張ってね」

「えっ帰るの?」

「うん。もう学校のほとんど回ったから」

「そうなんだ」

「じゃあね」

「ん」

翠さんは笑って手を振っているのに対し、蒼は無表情で手を軽く上げただけ。

そして翠さんは檜佐木先生に軽く礼をして教室を出て行った。

本当に似てない姉妹だ
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