招き猫(管理人)の小説

□DARK DELIVER第2章
1ページ/40ページ

カチ、カチ、カチ・・・・・時計の秒針がその部屋に鳴り響く。窓は無い。そのため、個々が今地上にあるのかさえもわからない状態だ。そんな室内で淳は眼を覚ました。意識はまだ混沌としている。
「ここ・・・・どこだ?」
ムクリと上半身を起こして周囲を見回す。自分の寝ているシングルベット。横にはハルバートの入った黒い鞄。そしてベットの下方向、入り口の近くにはハンガーにかけられた黒いロングコートと黒い上下のスーツ。そして黒いシャツが掛けてあった。今寝ている位置からさらにずっと横に行くとドアがあり、部屋がもう一つあるようだ。重い身体を引きずりその部屋の中に入ってみるとそこは、ユニットバスだった。自分の格好は誰のか分からない青色のパジャマを着ていた。ここは何処なんだろうという気持ちもあるが、自分から漂う汗と血の臭い、頭に付いた砂利の感触がたまらなく気持ち悪かった。ふと眼を横にやれば清潔そうな下着がおいてあった。結局、7,8分ほどシャワーを使わせてもらった。シャワーを浴びて見ると今まで働かなかった脳が活動を始めた。
「ふぅ・・・・スッキリした。」
下着を着て部屋に戻る。そして掛けてあったスーツの臭いをかぐ。シワひとつ無く、清潔的なにおいがした。少しほっとして、スーツを着て部屋を出た。
部屋を出るとそこにはドアが何個もついていてホテルを連想させた。しかし、淳は迷うことなく部屋を出て左方向へ向かった。
(多分会議室にいるよなぁ・・・)
そんな事を思いながら景色がなかなか変わらない廊下をひたすら歩く。突き当たりにぶつかり、右に曲がると『会議室』という文字が淳を迎い入れた。ガチャリとドアを開く。
そこにはロの字型に机とイスが組まれていて全員が座っていた。
「おはよう。」
淳は全員を見回し、そう言った。そこにいたのは中学生くらいだろうか、男子が4人と女子が5人、そして25、6歳であろう青年が1人。
「待ったか?」
「いや、別に。俺たちもさっき起きたばっかり。志鶴たちは先にご飯済ませてきたけど。」
「そうか。」
左の一番手前に座っていた男――裕也がそう答えた。
そのまま淳は右の一番奥、そこだけ不自然に空いていたのでそこに座った。淳の隣には1人の女の子――真夕が座っていた。
「おはよ。」
「昨日は眠れた?慣れない環境だし、色々見ちゃったから・・・大丈夫?」
「大丈夫だよ。そういえばお母さんとかに連絡しなくて良かったの?」
「あぁ、昨日しておいた。」
「何か言ってた?」
「う〜ん・・・特に何も。『淳が一緒だから大丈夫にでしょ』だって。」
「アハハ。いかにもお母さんらしいね。」
昨日淳がかなり緊張しながら自宅へ電話したが、いつもの明るい調子で言われた。それでも多少は(本当はかなり)心配していたのか「怪我はない?」とか「痛い所はない?」とか言われた。
「おい、淳。」
大柄な男――刹に話しかけられた。
「楽しそうにしてるのはいいんだが・・・そろそろ説明を始めるか・・。」
「そうだな。」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ