招き猫(管理人)の小説
□DARK DELIVER第1章
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初夏の空を餌集めに小鳥が飛びまわっている。そのはるか上では雲がゆっくり流れてる。暑いが時々気持ちのいい風が吹き抜ける初夏である。そんな平和な山の、ある中学校から世界を、人類の存続を左右する事件が始まる。
とある私立中学。
今は昼休み。グラウンドにはサッカーを楽しんでいる生徒の声が響く。
グラウンドの外れに天然芝が生えている所がある。そこには木数本が生えており、ちょうどいい日陰を作っている。そこにノビノビと短い昼休みを楽しんでいる男子生徒がいる。
「やー、ここが一番落ち着くね・・・。この木もちょうどいいし。」
木によって作られた日陰の下で横になっている。平和に時間が流れる。グラウンドには笑い声だけが響く。そこに男子生徒が校舎から走ってきた。
「おーい、淳―。」
日陰で半分寝ていた男子生徒――淳がゆっくり起きた。
「んー……ふぁあ。どったの?何でそんなに急いでんだよ?」
かなりの長身のわりにはゆっくりとしたテンポで答えた。
「いや、先生にお前を呼んできてくれって頼まれてな。お前なんかしたのか?」
呼びに来た男子生徒。こちらもかなり身長が高い。淳と並んでもその男子 生徒の方が高い。185cmほどだろうか。半袖のYシャツから見える腕は普通の中学生ではないほど盛り上がっている。筋肉でとても腕が太い。その呼びに来た生徒――近藤 刹は問いかけた。
「さー、何したっけな?これといって記憶が無いんだよな。まあいいや。手間かけさせたな。刹、ありがとう。」
そう言って淳は日陰が名残惜しそうに走り出した。