招き猫(管理人)の小説

□DARK DELIVER第2章
4ページ/40ページ

刹は少し早口気味で言った。誰もが口を開かない。
「それでな・・・・優羽たちはそれぞれ幸せな人生がある。それをこんな所で狂わしちゃいけない。それに、俺たちの近くにいるって事はそれだけでも危険なんだ・・・だから・・・」

「別れる気ないよ。」
全くの偶然だったのだろう。彼女たちは声をそろえて言った。この一斉の声に彼たちは黙り込んでしまった。
「どうせ、あんた達の事だから」
「変に気にして」
「『危険だから別れよう』とか」
「言うんじゃないかと」
「思ってたんだ。」
どうやら完全に読まれていたようだ。ポカンとしている彼たちを見て葉山警視は笑っていた。

「いや〜参ったな・・・。」
「ホントだよ。まさかあそこまで声をそろえて言われちゃぁな。」
5人の声が聞こえる。彼たちの目の前には湯気を上げている鯖の味噌煮定食があった。ここは警視庁の食堂である。時間はもう朝食とは言えないし、この時間であれば普通の刑事たちは仕事をしているので誰もいない。
「まあ、俺は結構安心してるよ。あれだけのもの見せたら近づきにくくなるのが普通だからな。」と刹が言った。
「そりゃ誰だって思ってるさ。・・・・でもコレからが一番大変だな。」
「あぁ・・・何とかして首を縦に振らせるしかないさ。明日には帰ってこれればいいけど、早いとこ出発したいんだよな。」
「でも、葉山警視が気を使ってあいつらを東京見物に連れて行ってくれたことは感謝だな。そうでなきゃ、こんな風に集まって物騒な話できないだろ。」
「1年ぶりか・・・・もうそんなに経つんだ。」
「みんな元気かな・・・」
「辞めてからほとんど連絡とってないからな。」
「でもみんなして元気だろ。シーンはまだレイン姐さん(←人物設定参照)に尻に敷かれてんのかな?」
「だろうな。あんな結婚生活は送りたくない。」
「アハハ。でもそれが長く結婚するコツなのかもね。常に刺激があるから。」
「それで、いつ日本出発するんだ?」
ふと食堂に掛けてあった時計を見る。現在の時刻は午前10時。
「なんか葉山警視は『午後1時に羽田空港からコンコルドで出発します』って言ってたけど。」
「ふ〜ん。・・・・しっかしこの定食美味いな。あとで叔母ちゃんに作り方教えてもらおう。唯奈も魚くらいは食わないと筋肉付かないからな。鯖の味噌煮なら生臭さも消えるから食べられるかも・・・」
「一成、料理好きだね・・・いい主夫になるよ。」
「まぁシーンみたいに尻には敷かれたくないけどね。アハハ。」
5人はこれからもう一度裏社会に身を置く事に対してもう不安を感じてはいなかった。だからこそ今のように楽しくときをすごす事が出来る。これから時が経ち、日の光の下ですごす事が出来たのなら彼女たちと過ごしたいと思っている。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ