招き猫(管理人)の小説

□DARK DELIVER第2章
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「けど、これからはもう元じゃない。」
淳は静かになった事を確認して言い放った。
「え・・・・・」
真夕達5人が驚きの声を上げた。
「だって、もう辞めたんでしょ。もう、人を傷つけなくていいんでしょ!?」
悲痛とも思える志鶴の声が会議室に響く。
「確かに俺たちはもうDARK DELIVERじゃなかった。でも、いくら昔に裏組織にいて、国際連盟に認められていたとしても殺人者は殺人者だ。中学校で俺たちは確かに人を殺(アヤ)めてしまった。本当であれば殺人の現行犯として葉山警視に捕まってたはずだから。だけど、俺たちは今警視庁のど真ん中にいる。これはどういう事か?」
「どういう事?」
「俺たちが学校に入る前、葉山警視が許可を取ってくれたんだ。人を殺めてもいいと。ただし、それはもう一度DARK DELIVERとして犯罪者を処分するという名目で。だから、俺たちはもう一度、裏社会に身を置く。それが条件だった。」
「・・・」
何も言葉は出なかった。淳たちが下した決断は大して時間がかからなかっただろう。なぜなら大切な人を守るにはその方法しか無かったから。しかし、彼女たちにしてみれば大問題だった。自分を助けるために、もう一度危険な場所に行く。勿論、学校になんか簡単にくることなど出来ない。それに、自分たちの前で傷つく姿を見てしまっている。血を体から流している彼たちの姿をもう見たくもないし、血を流して欲しくない。そして、戦っている中で彼たちが所々見せる寂しげな顔も見たくない。
「勝手な判断でつらい事をさせたのは悪いと思ってる。いい訳だと思ってもらってかまわないけど、俺たちは後悔も何もしてないから。それに1年だけ。だから分かって欲しい。」
その亮の言葉が少し、本当に少しだが彼女たちの沈んだ気持ちを何とかした。
「もう、これからはそう簡単に会えなくなるかも知れない・・・でも今まで通り変わらないかもしれない。それは今の所分かんないんだ。」
「今の所分かんないってどういう意味?」
「俺たちはこれから本部に行ってくる。そこで報告した後、この後どうするかが決まる。日本に在住して学校通って必要なときだけ出動する場合もあるし、本部にいて仕事をする場合もある。場合によっては1ヶ月近く日本に帰れない時もある。」
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