05/12の日記

03:29
小話ー今ボクがすべきことは、恋に落ちることー快紅
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ー今ボクがすべきことは、恋に落ちることー快紅


「アナタ、それをわたくしに聞くの?」
放課後の屋上は、不安定な天候のせいか、わたくし達の他に人影はなかった。

「だってさ、オレにはわかんねーもん」
並んでフェンスにもたれて、黒羽快斗は手に持ってたパックジュースを紅子に差し出す。

「ん、」
「なに?くれるの」
いちごオレだ。
紅魔女だから、という理由ではないが赤い色の食べ物をわたくしは好む。

「あー、相談料な?」
ありがとう、と素直に礼を言おうとしたわたくしは黒羽快斗の一言で怒りに震えた。

「まぁ、安い相談料だこと!このわたくしを前にして、アナタ先程からずいぶんじゃないかしら!!!」

「へ、何で怒ってんだ?いちごオレ、オメー好きだろ」
わからん?、という表情で黒羽快斗はこちらを見る。
人工的なイチゴ味。糖分過多なこの飲み物を彼の前で飲んだことは無かったはずだ。
イライラとする!

「中森さんから聞いたの?」
いつも一緒にいる幼なじみの彼女からなら、何でもない友人の情報も仕入れることが出来るだろう。
無邪気な中森さん。彼女の存在はわたくしのペースを簡単に乱してくれる。

「はあ、青子は関係ねーよ」
呆れた顔で否定して、黒羽快斗は自分の分のフルーツオレにストロー挿して言った。

「そんなの、オメーを見てれば分かるって」
当然のように言い放つ黒羽快斗に、わたくしはとたんに勢いを削がれた。


ー見てるの?

わたくしのことも?ー

ジュースを持つ手がふるえた。
油断をすれば、真っ赤になってしまいそうな頬を、思わずいちごオレで隠す。

それに、黒羽快斗は気づきもしないようだ。
恐るべき観察力の彼も、どうしてか恋愛が関わるとてんで鈍感になる。
それが、ひどく腹立たしい。

ああ、本当に腹立たしい!
アナタ、それをわたくしに聞くの!?


笑って彼は問うのだ。


「でさ、恋ってのはどんなものなんだ?」



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もういっそチューでもしてやんなさい、紅子さま。
快斗に振り回されてしまいました。
紅子さま、苺味好きだったら可愛い。

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