09/19の日記

02:51
小話─お似合いのぼくら─ 快コ+哀
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ーお似合いのぼくらー

「えっ!今日から衣替えなの?」
青いブレザーを羽織ったコナンを見て快斗は声を上げた。
「言ってくれたらオレが出しといたのに〜」
「バーロー、世話焼き過ぎだ。コレくらい自分でやるよ」
「オレがやりたいんだって、もぅ」

「朝からいちゃつかないでくれる?」
「灰原」
「おはよー哀ちゃん」

隣家の少女が鬱陶しそうにジト目で見ていた。

「じゃ、行ってくる」

眠そうに不機嫌な哀に並んで玄関を出ようとしたコナンの肩を快斗が叩いた。

「あ!ねぇ、今晩何食べたい?」
「何だよ急に」
「あ、いや、オレ仕事がはやく終わるしさ、たまには良いもの食べようぜ」
「そっか?じゃあ考えとく」

手を振る快斗と別れて角を曲がってから不審顔の哀はコナンに尋ねた。

「今の何なの?」

哀の視線はコナンの死角になる襟の返しにある。

「心配性で過保護な犯罪者だよ。知ってっだろ」

胡散臭そうな顔をつくる哀に、コナン淡々と答えた。

少し首を捻ればソレはコナンにも見えた。

焦ってずいぶん雑な付け方をしたようだ。思わず苦い笑いが浮かぶ。

まったく快斗らしくない失態だ。今頃、家でポーカーフェイス崩して後悔しているところだろう。

肩口に張り付いた盗聴器

怪盗キッドの手製だから精巧なものではあるのだが、衣替えに焦ってバレバレのところに取り付けたようだ。
普段は上手くやってんのにな。

慣れたコナンの顔を見て、哀は呆れた顔でつぶやいた。

「その (盗聴) 程度は良くあること、ってわけね」

事件体質の名探偵と、過保護な天才犯罪者。きっとこれが無いと不安なのだろう。

「ホントお似合いだわ…あなた達」


哀は空を仰いだ。晴れたいい天気だった。


「なあ今晩、オメーも一緒に来いよ夕食、博士も誘ってさ」

「あら、良いの?」

「快斗も喜ぶし、大勢の方が美味いだろ」

「そう?ありがと。博士にも連絡しとくわ」



携帯を取り出したコナンを見て、ふと哀は立ち止まる。


「快斗?今いいか、今晩の夕食だけど…ん、そう、あぁ、じゃあ」


ん、どうした灰原?

「ねえ、盗聴器があるんだから今の会話だって聞いてたでしょうに。電話なんてかける必要あるかしら?」

ーー盗聴はどうかと思うけど、

「ああ、まぁ、・・・どんなに近くにいても、相手の意志はちゃんと尊重するぜ。相手をないがしろにしない。嫌なことはしない。
パートナーとして、当然の気配りだろ」

「•••••ふぅん」


「灰原?何だ?嬉しそうだな」

不思議そうな顔で聞いてくるコナンに、哀はニッコリ笑って言ってやった。


そうね、食事の手間が省けるし、

ホーントごちそうさま !


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友人カップルが、ちゃんと尊敬できるお付き合いをしているのを、少しだけ誇らしく思う哀ちゃん。

ずいぶん前に浮かんだ話。衣換えシーズンまで寝かしていたのです。


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