06/05の日記
09:22
小話 ーシーツの狭間でーK新
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あれ?シーツってもしかしないでも、リバーシブルじゃないの!?
なんて事!
勝手に両面プリントだと思ってた。
だって、探偵と怪盗。シーツの裏と表の関係だからカンタンに触れられないんだよ!
と、そのもどかしい設定にキュンとしていたというのに。
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電気を落とした寝室のベッドの上で、新一は、あまりの緊張に固まっていた。先ほど熱いシャワーを浴びたというのに、うっすらと寒さを感じる。
この格好がいけないのだろう。
素肌に白いワイシャツを肩にかけただけの姿に、今更新一は気恥ずかしさを感じる。
今夜、新一はキッドとひとつになる。
初めての新一は待つ時間をどう過ごして良いのか分からない。
「や、やっぱ服着た方が良いのかな?でも、今更だよな?どうせ脱がされるんだしよ///」
うわ、どうすんだよ!着てもなくても恥ずかしい。期待し過ぎとか思われるかも…期待しないはずがない、つか、むしろあさましいなんて思われたら……!
ベッドの上で混乱する新一の手に、キッドが用意した寝具が触れる。手触りの良いシーツ。畳まれたそれを、よく見ないままに身体に巻いた。
取りあえず、素肌が隠れたおかげで少し安心出来た。
安堵の息をついたところで、ドアが開く。
「お待たせしました。名探偵」
いつもの青シャツにスラックス。濡れた髪が扇情的だが、新一の姿に比べると、あまりにも理性的な格好だった。
新一は、ますます恥ずかしくなりシーツの合わせをギュッと掴む。
やっぱりちゃんと服着とけば良かった!
心中で悲嘆に暮れる新一にキッドは思いがけない言葉をくれる。
「おや、随分と可愛らしいことをされる」
うん?
「?、そのシーツ、気づいてられないのですか?」
何のことかと、ホールドしていた腕を開いて確認してみれば、
「な!?なんだ??」
キッドの姿がプリントされていた。
マントを右手で広げているイラストのために、今シーツを纏う新一をすっぽりと包み込むようになっている。
「新商品なんですって」
へ?
「販売前の試作品を拝借しました」
は?
「名探偵は、私の上と下で乱れて下さいね」
「///////ばっバーロォ!!!」
探偵は、怪盗のあけすけな提案に真っ赤になって背を向けた。
それでも、“嫌だ“と言わないのは惚れた弱みだとキッドは知っている。
素直になれない意固地な貴方も可愛らしいですが、こうして私に少しずつゆるしてくれる貴方が愛しい。
キッドはシーツごと、新一を抱きしめた。
新一の被るシーツには、ちょうど背面のキッドに照れ隠しの視線を投げる名探偵のイラストがある。
新一は気づいていない。
このシーツがリバーシブルなことに。
さて、後で知ったら、この可愛い恋人はどんな顔をするのでしょうね。
意地の悪い想像を隠し、怪盗はニンマリと笑った。
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シーツ越しにキッドが名探偵をぎゅっ。
イラストごと全部、今夜君は僕のもの!
さぁ!今からでも良いのでリバーシブルにしてください
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