11/07の日記
06:31
−クロッシング− (双子設定)
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−クロッシング−
K快(双子設定)
向かい合って両手を繋ぐ。
貴方と私の右手と左手。
ホラもうこれで、世界は閉じた。
フランス映画のようにその挨拶は自然に行われる。
手を取り、頬に触れる。睦まじいその行為。
「おかえり、快斗」
「ただいま、キッド」
ただの帰宅のあいさつに、ハグをするのは海外公演を長く行ってきた父親の影響が多分にあるのだが、それを差し引いても双子の彼らは仲の良い兄弟だった。
「学校はどうでした?」
「…青子とケンカしてきた」
「また!私の予告日ごとに喧嘩して。幼馴染とはいえ女性と喧嘩なんて紳士のする事ではありませんよ!」
「だぁって、」
「快斗!言い訳は聞きません」
「〜〜〜〜〜!!!!」
ぴしゃりとキッドが言えば、自身の非を内心認める快斗が拗ねてしまう。
快斗だってしたくて喧嘩しているわけでないのは私だって良くわかっている。
犯行日は、嫌でも精神が高まるものだ。中森警部の娘の青子に散々あおられれば、快斗でもポーカフェィスが乱れてしまうだろう。
そしてまた、喧嘩の理由がキッド擁護とくれば、もう本当にこの弟は!
「快斗。罰として、仲直りに青子さんと一緒に中森警部に夜食を届けに行きなさい」
快斗の拗ねた顔が、キョトンと振り返る。
「え、オレ現場に行って良いの?」
「もう、どうせ気になって大人しくしていられないんでしょう?」
「やった!オレ、青子に電話してくる」
携帯をつかんでバタバタと部屋を出て行くのを、キッドは微笑ましく見送った。
ブラコンなのは、快斗だけではないのだ。
それに今日は快斗がいた方が仕事がやりやすそうだ。快斗の前ではどんな小さなミスも許されない。これくらいのプレッシャーが今夜は必要だった。
神経過敏になっているのは快斗だけではないのだ。
キッドもまた、落ち着かず脳内で逃走経路のシュミレーションを繰り返す。
気持が走る。
こんな時は慎重にならなければならない。
いつかのジョーカーのように。
ふつふつと高揚する。
口角が吊り上がる。
ポーカーフェイスが保てないなんて!
「くふふ・・・」
今夜は、楽しいショーになりそうだ。
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