08/28の日記

10:56
小話 ―美術部情景―園子と新一
---------------

園子は美術部の部長設定。
ほのぼの

―美術部情景―

「わ!黒の魔術師よ」
パンフを片手に園子は声を上げた。

「はぁ?何だそれ。おい、動くなって、」

「んー、印刷悪いわねぇ!こんなパンフじゃ判りにくいけど不思議な絵なのよ。深くて、深くて、何処までも落ちていくような、吸い込まれるような絵なんだから!!!」

江古田高校2年黒羽快斗、どんな人かしらねぇ、とパイプ椅子に腰掛けた園子が夢見るようにつぶやく。

高校美術連合公報誌と仰々しくロゴされたパンフレットの表紙。今月の作品と紹介されているのは、都内の有数の絵画展で高校生が特選をとって話題になった絵だった。

「ふーん」

「何よーつまんない顔しちゃって!ほーんと工藤君って事件と蘭の事しか興味無いのねぇ!」

「おい、蘭は関係ねぇよ、ほら出来たぜ」

「どれどれ、へぇー上手いもんね。よく似てるわ」

「モデル見て描いてんだ、そりゃ似るだろ?」

スケッチブックに、澄ました顔で笑う園子が写し出されている。鉛筆の粉で汚れた手を洗ってイーゼルを片付けた新一は荷物を持って立ち上がる。

「あら行くの?また事件なんだ。頑張ってよね警察の救世主!ついでに我が美術部も助けて欲しいところだけど」

「悪りぃな、園子。手伝って貰ってんのに」

「工藤君の優先は事件、単位だものね。まぁ協力するわ美術の単位の補填作業ならね、だから留年しちゃだめよ!蘭からも頼まれてんだから」

「サンキュー。そういや、蘭が心配してたけど、京極さんと婚約決まったんだな。」

「えっ、何で知ってんの!?決まったばっかでまだ蘭にも誰にも言ってない極秘なのに」

「見りゃ判るだろ?左の薬指、ずっと気にしてるし。あとは昨日より、綺麗になったから、な」
おめでとう良かったな。
そう言って新一は美術室を出ていった。

残された園子は、描かれたデッサンと鏡を見比べて真っ赤になった。


―――――――

黒の魔術師、のイメージはもちろんキッド様から。そして10年以上前に読んだ少女マンガからイメージを貰いました。


前へ|次へ

コメントを書く
日記を書き直す
この日記を削除

[戻る]



©フォレストページ