ひらがな

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立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花
容姿端麗、大和撫子

日本美人を絵に描いたような人物



そう、それが岡本綾…

私のこと…らしい……



まぁ、そんな私も一人の女の子なわけであって


恋だってしてます…


「蔵……」

放課後、一人の教室で愛しい彼の名前を呟く


私はテニス部のマネージャー
だけど、今は先生から任された仕事をしてるとこ


これが、これが叶う恋ならば


普通の恋ならば




もっと大きな声で蔵の名前を呼べるのに


窓の外に目を移して見えるのはテニスコート
そこで忙しそうに駆け回るもう一人のマネージャー…


皆元麻里佳……


蔵にドリンクを渡す彼女の顔はとても愛おしそうで
その頭を撫でる蔵の表情も優しくて…



仕方がないこと、彼等は付き合っているのだから
当たり前の事なの…


なのに、やっぱり見るのは辛い
まだ、好きだから…


「綾…!?やっと見つけた…」



廊下に立っていたのは幼馴染で
唯一私の気持ちを知っている


「謙也……」
「また白石達見てたんか?」
「はは、見てないよ〜」
「あっそ、ならええけど…部活行くで〜」
「はいはい…」


プリントをまとめて、謙也の後ろに着いて行く
ホントなんでも分かるんだね


真奈も謙也も…


静かに、笑みを漏らした
私を分かってくれる人たちに…



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