短いお話-よんアザ

□満更どころか、
1ページ/1ページ

『もー!アザゼルさんってば、ほんっとにわかってるんですかぁ〜?!』
「あー、わかってる、わかってますってぇ」
『ウソ。ぜぇーったいウーソー!!』
「…あああもう、なんやねん。心の広いアザゼルさんかて限界やで?だからあんだけ酒はやめとけっちゅーといたやろ」


何があったのか、なまえは突然酒に手を出した。いままで酒は飲まないように気をつけてたはずなのに、ヤケ酒と思われる行為を小1時間ほど続け、いまに至る。

『…知りませんよぉ、そんなの。酒の方から飲んでくれって頼まれたんですぅー』
「アホか!そんなファンタジー起こってたまるかいな!!」

こんな風に駄々をこねることも珍しい。普段ならもっと、距離をとってくる。
『うぅーーー…。アザゼルさんが怖いーー』
「…今度は泣くんかい。ハァー…もぉ付き合ってられんで。」
『うー…。…あーざーぜーるーさ〜ん〜』
「…なんや今度は」
『さっきの、本気だからねー。本気の本気の本気ぃー…』

なまえが本気、と言っているのは、アザゼルへの告白である。とはいえ、酔った中で好き好きと言葉を投げかけられたところで、アザゼルが本気にするはずもなかった。
「…襲われたいんかいな、なまえちゃん。欲求不満?」
『…襲われ…?』
「そぉやで?こんな淫奔の悪魔に好き好きゆーてたら、襲われてまうかも知れへんよ?」
『…じゃあ、アザゼルさんは私のこと襲うの?』
「…まぁ、そうかもしれ『いいよ。』
「…え?」
『私、アザゼルさんのこと、好きだもん。だから、いいよ。』
「…なまえちゃん、冗談が過ぎるよ?」
『だからっ!冗談なんかじゃ、ないんだってば!!』

…泣いたと思えば怒り、そしてまた泣く。先程からこれの繰り返しである。
「…ちょっ、なまえちゃん、泣かんといてや。ワシかて、なまえちゃんのことは好きやし…」
『うん、分かった』
「え、わかってくれたん?なんや、サクッと解決やん」
『分かったよ。だから、』




ちゅっ



『ゆっくり返事待つね』


「…え、」
『…ふぁぁ、お休みなさぃ…』
眠気がこみ上げてきたらしく、なまえはすぐに寝付いてしまった。
「…お休み?…って、これで良かったんかいな…」




(酒でも飲まなきゃ、こんなことできないじゃない…)

満更どころか、

(とっくに、好きになってもてるみたいや…)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ