ファッシノ。
□いざ、魔界へ。
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…部屋にこもってのんびりと過ごしていたある日のこと。
いつも通りネットサーフィンしていたとき、ある事がふと頭に思い浮かんだ。
そうだ、そういえば昨日はあの本の最新刊が発売されたんだ。早速買いにいかないと。
財布の中身を覗くと、中には3千円。よし、余裕で買える。
今は11時半。店はもうとっくに開いている。
あ、どうせなら他の本もチェックしとこーかな。
『さっさと行ってさっさと帰ろう。今日はおもしろそうな特別番組あったし。』
…本屋に行くまでにこんなに寄り道する事になるとはね…。
この本屋までの道で、あらゆる障害があった。
といっても、大抵が安売りセールだったわけだが。
でもケーキだけは…あのセールだけは勝てなかった…。
私の片手にはすでに、白いケーキの箱があった。
ダイエットとか、もうあの言葉嘘だわ。
言葉だけでしたごめんなさい。
そんな事思いつつ歩いていると、やっと本命の本屋が見えて来た。
何だか達成感まで感じる。
ただ、そんな気持ちなんて一瞬で消し去った。
ここは交差点でもなく、交通量の多い道でもない。普通に歩いていれば、何も起こらない…はずだった。
こちらに向かって突っ込んでくるトラックを前に、私はただ茫然としていた。