戦国

□兄
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「俺たち、兄弟だろうが!」

そう、さも当然そうに、
むしろ此方が立場を変える意味がわからんとばかりに言い放った言葉は

不思議なまでに心に染みて

「(…この人の背中は、こんなに大きかっただろうか)」

と、思うほど

先頭で我らを率いる島津の勇、我が兄は
この劣兵の中、まるで大軍を抱えているかのような堂々たる面持ちで――




「なのに!」

「いや、んなコト言われてもなぁ…」
「事実じゃないですか義弘兄さん!俺の感動を今すぐ返してください!」
「そうケチケチすんなよ。飯くらいで」もぐもぐ
「まだ戦の最中だというのになんて体たらく!しかも夫人を戦場に連れてくるなんて…」

「あら、私はお呼びじゃなかったかしら?家久君」
「あ、義姉上…!」
「しょうがねぇだろ、勝手に追っかけて来られちゃあ」もぐもぐ
「だからって…」
「まぁまぁ、もう戦も仕上げなんでしょ?家久君も、やることないなら食べてきなさいよ。はい」
「え、あ、俺は…」
「いーからいーから♪」
「いーからいーから」もぐもぐ
「いや、あのっ」
「家久君もたくさん食べて、早く一人前の薩摩男になるんだよ!ね?」
「は、はい!」



そのまま、いつの魔にか次男夫婦にまるめこまれ、いっしょに夫人の手料理を囲む家久君なのでした。






-了-





まさかの義弘の嫁自引き!というコトで島津伝進めましたー

真面目な四男が弛い次男夫婦になんだかんだ流されてたら可愛いなと思い(笑)

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