頂き物

□高野さんのヒトリゴト
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マンションに連れて帰って、自分のベットに寝かした。
着いたときに起こす事も、コイツの部屋に寝かせてやることもできた。
でもこのあどけない寝顔と離れたくなかったのだ。
誓って言うが、最初の下心は間違いなくそこまでだった。

小野寺は今日、原稿受け取りのために北海道日帰り往復、しかも走り通しだっただろう。
俺よりも疲れているのは間違いないはずだ。
本当はこのままいろいろなコトをいたしたい欲望はあるが、今日はかわいそうだろう。
このまま寝かせるつもりで、さすがにコートなんかは脱がせるべきだと思った。

まずマフラーを取ってやる。
あらわになった小野寺の首は、呆れるほど細かった。
思わず吸い付いて、味わってみたくなる。
だが今日のところは我慢だと、自分に言い聞かせた。

次はコートのボタンを外して、その下に着ているパーカーの前を広げた。
そしてパーカーと小野寺の身体の間に腕を入れて、抱き上げるようにして脱がせる。
思い切り抱き寄せるように上着から引き離すと、小野寺が小さく「んっ」と声を上げた。
さすがに起きたか?とその顔を覗き込んだ。
でも小野寺は微かに不機嫌そうに眉を寄せただけで、目を覚ますことはなかった。
もう一度寝かせて髪をなでてやると、また安心したような寝顔に戻った。
子供みたいな無防備な表情に、思わずこちらの頬も緩む。




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