book2 (story)

□落ちるもの
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「体育館ってどっち?」

自分よりも少し背の高い男の子に道を訪ねると少し眉を潜ませたあとに案内してくれた

「転校生か?」
「うん、明後日」

カッターシャツの下に透ける健康的な背中を眺めながら触れたくて仕方がなかった
言ってしまえば変態扱いされそうなので
「糸屑ついてる」そう言って背中に指を這わせゴミを捨てる仕草をする

跳ねる様な肉の感触が嬉しくて
つい顔が綻んでしまう

ハッとして男の子の顔を見ると
びっくりしたような困惑したような顔で見られた

バレたかなと思いつつ
「ごめんなさい、勝手に触ったりして」
と謝罪すると
「いや、サンキュー」と顔を赤らめながらお礼を言われた

体育館へ向かう中、なにかスポーツしているのかと聞くとテニス部だと教えてくれた
それは、素敵な背筋の筈だと納得していると
「あの建物だ」とすぐ近くを指差した

「ありがとう助かった」と告げると
「おう」と小さくて呟いた

しばらく無言がつづいたのち

「クラス…どこだ?」耳が少し赤くなってるのを冷静に見てしまい、少し遅れて
「3-Bだったかなぁ…」と答えた


なんとなく
ほんとうになんとなく手を握ると

バッと顔を見られたそらすことなく見詰め返すと紅くなって下を向いてしまった
ゆっくりと肩に手を置き少しかかとをあげてそのまま口付けた

唇を離すと驚いている目と視線があった
「嫌だった?」と聞くと
「…っ!いや、ぇ」
「名前…名前聞いてない」
「え…ぁ宍戸、宍戸亮」
「ん…分かった宍戸君ね。今日はもう行かなきゃ」
「お…おい!お前の名前は!?」



「今度また会いに行くから!その時教える!」
遠ざかる私に君は視線を向けてお互いが見えなくなった頃私たちは気づくのだ

「恋に落ちた」と

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