硝子の物語(連載)

□boy”girl
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♂=♀ビーム



「くっ…強いな、麦わらぁ」

碧い髪を靡かせながら、インチキくさいマントをした男が息を切らせながら言う。

「うん、決闘挑んできた割にお前は弱いな」

ルフィは指の関節をポキポキ鳴らしながら、自分の下に這い蹲る男に笑いかけた。

「もう勝負は見えてんだ。俺は船に戻るよ」

そう言って、船に戻ろうと後ろを向いた…

―その時

「…と思わせといて最後の一撃ぃっ!」

碧い髪の男の手から、素早い光線がルフィを背中から貫く。

「…がっ…ぁ」

油断していたルフィは、もろにその衝撃を受けたわけで…

船の上で鑑賞していたクルー達は血相を変えて船から飛び降り、碧い髪の男めがけて一直線に走ってきた。

「「てめーっ!!!」」

「ひぃっ」

その迫力に押し負けたのか、男は冷や汗をだらだら流し、腰を抜かしてその場にへたり込んだ。

クルーがそれぞれ臨戦状態に入ろうとした時、後ろで倒れていたルフィがむくりと起き上った。

「ルフィ!大丈夫か?!」

「おう、それが何ともねぇんだよ」

尋ねるチョッパーに対して、ルフィはケロリとした様子でそう答えた。

「え、本当か?」

「…んー、何ともない…な」

確かに光線を直でくらったはずだけど…と、不思議そうにルフィは両手を開いたり握ったり、足をバタバタさせたりした。

「お前、俺に何したんだ?」

ルフィの質問に答えるわけでもなく、碧い髪の男は不敵に笑い、すっと立ち上がるとピーっと指笛を鳴らした。

「異変にはいつか気づくだろう!フハハハッ!麦わら海賊も終わりだな!…いざさらば!」

どこからか飛んできたオオワシの足に掴まり、男は遠くに飛び去って行った。

「なんだったんだ…アイツ…」

茫然と男の消えていった空を見ながらぽつりとルフィが呟く。

「何か引っかかるわね…」

ロビンは眉間にしわを寄せながら、そう言った。

「“異変”ってどういう意味なのかしら?」

ナミも怪訝そうにルフィを見下ろす。

「“麦わら海賊も終わり”って言ってたけど…なんなの…」

沈黙するクルー達をよそに、ルフィは元気よく立ち上がると、しししっと笑って見せた。

「とにかくなんにも異変は無いんだしよ、船にもどろーぜ」

「呑気だな…ったく」

ゾロはポリポリと頭をかきながら船のある方向に体を向けて歩き出した。

「ま、なんにもないんならいいんじゃないか?」

サンジも、「人騒がせだぜ」とほざきながら船に戻る。

その他のクルー達も船に乗り込み、次の島に向けて出港した。



―…



「ほんとに異変は起きないわね」

あの奇妙な男との決戦から2日後、特に何の異変もなく、普通の生活をしていた。

「はったりだったんじゃねぇのか?ま、もうどうでもいいや」

ルフィは小さく伸びをして、地平線の向こうを見つめた。

「うん、今日も特になんの変化もないみたいでよかったなぁ、ルフィ!」

チョッパーは嬉しそうにルフィの隣でちょろちょろ動きまわった。



この時まで、まさかルフィの身にあんなことが起こるなんて、誰もが予想していなかった…



―…



あの決戦から一週間が過ぎようとしたある朝。

「ルフィ、朝だ。おい、起きろ!」

ウソップは隣ですやすや寝息を立てているルフィをゆさゆさと揺さぶった。

「ん〜、あとちょっと…」

ルフィの言葉を無視して、ウソップはルフィにかかっている毛布を無理やり引っぺがした。

「いい加減に起き…っ…、え?」

「ちょっとくらい寝かせてくれて…お?」

ルフィは、自分の髪が腰のあたりまで伸びていることに気づき、両手でぐっと引っ張ってみる。

「ぬ、抜けね…本物だ…」

ウソップは、顔を真っ赤にしてルフィから視線をそらした。

「どーした?ウソップ。まさかアイツの光線の威力って髪が伸びるだけだったとはな〜、しししっ、皆に見せてこよーっと」

ハンモックから飛び降りるルフィの細腕を引っ張り、ウソップは蒼白な顔でルフィを見つめた。

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