硝子の物語
□『すき』、と
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だらしない性欲と
適当な愛情で
俺の心を、もっと乱してくれ
「早く抜け」
キッドの目が蔑むように俺のことを見下ろした。
俺は、キッドの陰茎を右手の掌でゆるゆると扱きながら、戸惑うように瞳を揺らした。
そんな俺に苛立った様子で、キッドは頭を鷲掴みにし、無理やり陰茎を口腔内に押し込んだ。
いきなりのことで頭が真っ白になり、息が上手くできずに、自然と涙が溢れ出てくる。
「泣いてんじゃねぇよ。好きだろ?こういうの」
ククッと喉を低く鳴らして笑ったキッドに、否定の言葉も言えずに、俺は必死に彼のモノを口で奉仕した。
「っ、ぅ…ぐっ、ん」
口を大きく開けているため、流れ出た涎が顎を伝い、流れ落ちるのがよくわかる。
「は、やれば出来るじゃねぇか。いい子だな」
そう言って、俺の頭を撫でるキッドに、もっと愛でてもらいたくて、睾丸を開いた掌で揉み扱きながらさらに激しく陰茎に吸い付いた。
「っ、いい、ぜ…ルフィ」
「んんっ、はっ…っ、ぐ」
キッドの腰がぶるりと震え、精液が口内へ注ぎこまれる。
俺は零すまいと、生臭くやけに喉に絡まるそれを一気に飲み込んだ。
キッドの、精液
好きじゃなきゃ、こんなん耐えらんねぇよ、普通。
口元を手の甲で拭いながら、キッドの顔を見上げる。
「…き、っど」
ゆっくりと肩に手を回そうとすると、手を払われて、四つん這いの格好をさせられた。
抱きしめてなんて、言えるわけない。
「お前はゴムだから、このまんまでも壊れねぇよな?」
そう言いながら、キッドは自分の陰茎を俺の蕾に当てがい、一気に貫いた。
「っ?!やっ、だ、んんっ、あぁ」
その衝撃に、腰が砕けそうになりながら体制を整える俺に気遣う様子もなく、お構いなしに奥をガンガンと攻め立ててくる。
愛情は、ない
でも…
「あああぁぁっ、やぁっ、やっ…あ」
「嫌じゃねぇだろ?なあ、お前だって勃ってんじゃん」
キッドは俺の陰茎を握りつぶすように掌で包みこむと、上下に扱き始めた。
「キッド、だめっ、あっぅ…ん、イクっ、よぉ」
「俺より先にイクなよ」
滅茶苦茶だ、こんなの。
さっきより激しく手を上下しながら、俺の快感を促してるくせに。
「やっ、ゆっくり…ぁんんっ!」
俺の抵抗に知らない振りを決め込み、キッドの陰茎が腸壁をなぞり、前立腺を刺激する。
「…やっぱ、お前サイコーだ」
こんな時だけ、…
「ひああぁぁっ!」
複雑な気持ちとは裏腹に、どくんと脈打つ俺の陰茎を更に強く握り潰した。
あっけなく白濁を取りこぼした俺のソレは、情けなく下を向き、びくびくと痙攣している。
「ふっ、ぅん、?!…き、きっど…っ」
キッドは、イッたばかりで項垂れている俺に構わず、腰を推し進め、行き止まりのないソコに何度も何度も出し入れした。
「やっ…はぁっ、ん…っ」
シーツを鷲掴みにしながら、喘ぎすぎて声も出なるほど疲れ切った体を無理やり引き起こし、衝撃に耐える。
「ルフィ…、」
ふいにキッドが俺の名前を呼び、ピストンを続けながらも、優しく頬をなぞった。
「…きっど、っ?」
何事かと思い、後ろを振り向こうとすると、さっきとは比べ物にならないほど激しく突かれ、俺の動きを静止させた。
「あああっ!はっ、ぁんっ」
キッドは何も言わず、ただ腰を動かすだけ。
「やっ、きっど、きっ…きっど、…なにっ?どうし…ぁあっ」
「…なんでもねーよ。…おら、出すぜ」
腸内に注ぎ込まれる熱いキッドの精液。
「っ、ん」
この感覚に、俺はまだ慣れていない。
キッドは俺の蕾からずるりと陰茎を引き抜き、すぐに服を着込み始めた。
俺は腰が砕けたのか、身体が動かずに、ベッドに身体を沈めた俺は、肩で呼吸をしながら、虚ろな目でキッドを見つめる。
「…、きっど…もう、行くのか?…」
うまく回らない舌で、何とか言葉を発す。
キッドは表情を変えることもなく、一言、「ああ」と声を漏らし、部屋を出て行った。
あまりにあっけない。
途端に軋む、俺の心。
なぁ、キッド、
俺って、お前の、何なんだ?
ただの性欲処理?
はっ、笑える…
ここに愛情なんて、本当にないと言い切れる?
…いや、一方的な愛は存在する。
なぁ、キッド、
気づいてんだろ?
だから顔を背けるんだ。
だからわざと冷たくするんだ。
キッド、お前にそうされるくらいなら、いっそのこと俺は…