硝子の物語
□夜が更けたら
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夜が更けたら、抱き合おう。
甘い、甘い恋人同士の時間さ。
「行儀が悪い!」
ぺしっとルフィの頭を軽く叩くと、ふわっと黒髪が揺れて、ルフィの口端から、飲んでいた牛乳が顎を伝って流れた。
「ぃってえぇ!…くねぇけど、サンジ!何すんだよ!」
頭を両手で抱え込みながら、ルフィは大きな黒目をサンジに向けた。
「テメェがナミさんの食事にまで手を出そうとするからだ!」
「なんだよ、そのくらい!」
「そのくらいじゃねぇんだよ、クソゴム!」
「な、なに!?こんの、エロコック!!」
ぐぬぬっと睨み合う二人の仲裁に入ったのは、ナミだった。
「いい加減にしなさいっ!あんた達、ホントに恋人同士なの!?」
“恋人同士”という言葉にまだ慣れてないルフィは、うっと、耳まで顔を真っ赤にして固まってしまった。
サンジは、どんだけウブなんだよっ!と、心の中でルフィに突っ込みを入れながら、抗議を始めた。
「恋人だからって、譲れねぇ事はある」
そんな話を聞いていたゾロが、ニヤリと不適な笑みを浮かべながら、サンジに近寄った。
「な、なんだよ、クソマリモ」
咄嗟に身構えるサンジをよそに、ゾロはぽんと肩を叩いて、耳に唇を近づけた。
「そんな様子じゃ、sexどころか、キスもしてねぇみたいだな〜」
うっと口を噤むサンジに視線を合わせ、ゾロはニヤニヤ笑った。
「俺が喰ってもいいか?」
はっと目を見開き、サンジは片足をブンと振り上げ、ゾロの首筋ギリギリで止めた。
「テメェになんか喰わせるか、クソマリモ」
「お前がもたもたしてっからだろ、グルマユ」
「なんだとおぉぉっ!?もたもたじゃねぇ!大切にしてんだよ!!」
その言葉を聞いたゾロはブハッと吹き出し、ほくそ笑んだ。
「じゃあ、こないだルフィが1人で何してたかなんて知らねぇよなぁ?」
サンジの耳がピクリと動く。
「アイツだって健全な男子だ。溜まるもんも溜まるだろ」
うんうんと、一人で頷くゾロの隣で、タラリと額に冷や汗を浮かべたサンジがいた。
「…そうなのか、ルフィは…今まで俺は気づかずに…くっ」
ゾロはまた、サンジの肩にぽんと手を置き、「今夜が狙い目だぞ」と耳元で囁きかけ、ズボンから取り出したコンドームをサンジの手の内に託した。
部屋を出て行ったゾロに目もくれず、サンジはその丸い形をしたゴム製のものを生唾を飲み込みながら凝視するだけだった−…。
夜、キッチンに呼び出されたルフィは、すこしソワソワしながらサンジが来るのを待っていた。
午後11時の出来事である。
しばらくして、サンジがキッチンに入り、扉を閉め、内側から鍵をかけた。
「?、なんで締めてんだ?」
そんなルフィの問い掛けにも答えず、早足でルフィに駆け寄ると、その筋肉質で引き締まったルフィの細い腕をぐいっと引っ張り、優しく抱き締めた。
「サ…サンジ?」
かぁっと頬を赤く染め、ルフィはサンジの胸元に顔を埋めた。
ルフィの心臓がばくばくと激しい脈を打っている。
「なぁ、ルフィ…好きだ」
耳元でそう囁けば、ルフィは身悶えしたように体を揺らし、サンジの顔を見上げた。
「お、俺も、サンジの事好きだ。」
消え入りそうな声でぽつりと呟き、顔を逸らしたルフィが可愛過ぎて、サンジは、ルフィの顎をぐいっと持ち上げると、深い口付けを交わした。
「ふっ、…んむっ…っ」
漏れ出るルフィの吐息が、サンジの理性をぶち破った。
唇を離すと、自分のスーツを脱ぎ、床に敷くと、先程のキスで既に頭が朦朧としているルフィをその上にゆっくりと寝かせた。
「は、っ…サンジ?なにし…」
「ごめん、もう我慢できねぇ」
そう言うと、ルフィのベストを剥ぎ取り、少し固くなっている乳首を指の腹で優しくこねた。
「っ、サンジ、そんなとこ…女じゃねぇんだから、恥ずか…し、い…んっ」
「そうか?気持ち良さそうだけど?」
「んっ、バカ!言う、なぁっ…あぐっ」
ぴんと指で弾くと、ルフィの背中が大きなアーチを描いた。
「は、はぁっ…あっ、サン、ジ…」
「そう、煽んなって…」
ルフィの瞳には涙の膜が張り、半開きの唇からはうっすら唾液が零れている。
自分が指先を少し動かすだけで、すぐに反応を示すルフィにサンジの興奮の色は高まってゆくばかりだった。
するりとルフィの下腹部に手を移動させる。
「ちょっ、やめ、…っそこはダメだっ、ぁ」
戸惑った様子でルフィはサンジの手を制止する。
「なんで?こんな勃ってんのに」
ルフィの顔が更に紅潮し、恥ずかしそうにその顔を手で覆った。
「だっ、だからだろ…言わせんな…恥ずかしいからっ…」
サンジはふはっと笑い、ルフィの額にチュッと軽い口付けを落とした。
「クソ可愛いぜ、ルフィ」
「ばっ、だからそんなこと言うなよっ!!」
サンジはルフィの腹部で止まっていた手を再度下へ動かし始めた。