岩男SS
□殺陣機械
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‐…クイックマン、左脚部加速調整装置破損・腹部動力炉冷却回路異常発生・エネルギーコア損壊率25%・頸部内擬似神経回路オーバーヒート・システムバグ…‐
……くそ、脚が軋む。機体が熱い。思考が薄れる。エレキが俺のアイカメラを見据えた。次は俺か。
「クラッシュ!エアー!」
エレキは構わず人差し指と親指で電気を対流させていた。一秒弱の仕草でもソレが解る。次は目玉焼きってか?ふざけんな
「喚かなくても分かってるよクイック!」
「フン……良かろう!」
カットとアイスと交戦中のクラッシュとエアーがこちらに構えをとる。
エレキのビームは標準セットで刹那、最大質量まで約一秒、発射まで0,5秒、目標到達速度は距離が短くても長くても速く差がない厄介なモノだ。
素早くクラッシュがエレキの足場スレスレにボムを投げつけた。よろけた一瞬の隙にエアーはシュータでクイックマンの前に天然の防護壁を作る。
「おやおや?いいんですか?私の“足元だけ”で」
軌道をずらされ、軌道から外れた俺に発射されたビームは虚しく宙を舞ったというのに、なんだコイツの顔
「……ふふっ、“後は”頂きましてよ」
背後からノイズ混じりの不敵な笑い声が聞こえる。
「美しく!気高く!弾けろ俺の特殊武器!」
反響した本体の声と、ホログラム。ちっ、端からコレが目的かよ。エレキビームにジェミニレーザーか。まぁ予測済みだがな、全部。
「お前こそ、そんな前ばかり観ていたら怪我するぜ?」
メタルブレードを天井近くまで跳躍していたメタルがエレキに目掛けて投げつける。
「……ッ!??」
不意を突かれた襲撃に流石のエレキマンも避け切れずに右腕の肘から下だけが地面に着地する。
《タイムオーバー、タダチニANALOGCORDヲニュウリョクセヨ、タイムオーバー》
「ちぇー、もう訓練終わりかよ」
不満足そうに唇を尖らせパスコードを入力したクラッシュは残念そうにボムをしまった。
次々に0と1だけの世界に自身が飲み込まれていく。
転送装置から自身を繋ぐ端子を引き抜き、まだ残る電子空間での右腕の痛みに耐えながらもエレキマンは口角をあげた。
「成る程……さすがに純戦闘ロボットは頭が回りますね。敵のデコイすら結果的に味方にしてしまうのですから」
「まさかあのエアーシューターが障壁ではなく目くらましとは恐れイリマシタ!」
「全くです!あの時アイスさんの攻撃で、私達レーザー組は有利だと踏んだ所で……まさかクラッシュさんがボムで陽動と軌道破壊の役目までしているなんて!美しくて悔しいですわっ!」
ノイズ混じりにエレキの賛美に若干解説も加えたジェミニ(ホログラム)が興奮気味に叫ぶ。
「だが元は工業用のお前達があれだけの攻撃を交わしていたんだ、賞賛に値する」
エアーマンはそう言ってE缶をエレキマン達に手渡した。
「でもエアーシューターは地味に辛いでありますぞ!我輩達機械の重さすら持ち上げる風力は、敵に回すと骨が折れる」
アイスマンがぷーっと膨れながら文句を垂れた。
「おぉ、やはりDRNの面々は切れ者が多いな。先程からきちんと私達の攻撃パターンも特殊武器の“用途”も理解している。」
「メタルの言う通りだぜ俺がビームとレーザーの標的になってるうちにボムでポイントずらした一瞬に爆音で駆動音を隠して爆風とシューターで倍率ドン更に倍状態のメタルブレードをあんなふうに無駄なく交わすとはやるな!」
「何言ってんだよ、アイスマンが攻撃ついでにフィールドを凍らせていたからエレキマンが氷の破片でブレード確かめてたからあの反応出来たんだろー?」
メタルマンとクイックマンがエレキマン贔屓する中、クラッシュマンは影の立役者を褒める。
終わり
という超半端な訓練ネタ(笑)
そのうちちゃんとメカ増やしてきちんとシーンを興したのを載せる……かな?
5/3
めろだ