夢語の間
□キミのスキなコ
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勢いで楽屋を出てきてしまった綾部は、しばらく廊下で立っていた。
頭を冷やすためだったのだが
なかなか上手くいかないものだ。
「何やってんだょ俺…。」
廊下の壁を「ドンッ」と叩いた。
このままでは埒があかないから、手っ取り早く謝ろうと楽屋のドアノブに手をかけた。
でも何と言って入ったら良いかわからず結局、楽屋付近の廊下をウロウロする羽目になった。
綾部は廊下の壁に寄りかかり、そのまま腰を下ろした。
「このままじゃダメだよな…。分かってるのに何で出来ないんだよ俺は…。
なぁ、助けてよ…。」
呟く声は、寂しく廊下に響いた。
誰の返事も返ってくるはずは無いのに、綾部は期待をしてしまった。
又吉が心配して来てくれるんじゃないかと…。