今の俺には何の迷いもない。
だからもぅ、聞こう。
進むしかないだろ!
俺は腕時計をチラリと見て
桜を眺める又吉に話しかけた。
「あのさ又吉、あの日の約束覚えてるか?
お前がずっと・・・」
「ん?何か約束しとったっけ???」
「えっ…?おい冗談だろー!!
えっ!?ここまで思わせといて、それかょー。」
マジでへこんだ。
というか、もはや失望だった。
「ふっ…。冗談に決まってるやん!
ちゃんと覚えてる、
ずっと綾部の側におる。やろ?
忘れてへんよ、そんな大事なコト。」
「・・・。バカやろ。」
最後まで又吉のペースだった。
それでも良いかって思えるのはやっぱりコイツだから。
溢れてくる涙を止めるのは俺にはムリだった。
強く風が吹き、桜の花びらが舞った。淡い桃色が俺達を包んだ。
「やっぱ俺、お前の事は好きだゎぁぁああー。」
「ありがとう。
俺は太宰の次ぐらいに好きやわ〜。」
「おまっ、そこは感動シーンだろ!!」
俺と又吉は顔を見合わせて笑った。
嬉し泣きしている俺の肩には又吉の手が乗っていた。
やっぱりその手は今も…
温かいままだった。
終