夢語の間

□スプリングドラッグ
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今の俺には何の迷いもない。
だからもぅ、聞こう。
進むしかないだろ!

俺は腕時計をチラリと見て
桜を眺める又吉に話しかけた。

「あのさ又吉、あの日の約束覚えてるか?

お前がずっと・・・」
「ん?何か約束しとったっけ???」

「えっ…?おい冗談だろー!!
えっ!?ここまで思わせといて、それかょー。」

マジでへこんだ。
というか、もはや失望だった。



「ふっ…。冗談に決まってるやん!
ちゃんと覚えてる、
ずっと綾部の側におる。やろ?
忘れてへんよ、そんな大事なコト。」

「・・・。バカやろ。」

最後まで又吉のペースだった。
それでも良いかって思えるのはやっぱりコイツだから。
溢れてくる涙を止めるのは俺にはムリだった。

強く風が吹き、桜の花びらが舞った。淡い桃色が俺達を包んだ。



「やっぱ俺、お前の事は好きだゎぁぁああー。」

「ありがとう。
俺は太宰の次ぐらいに好きやわ〜。」

「おまっ、そこは感動シーンだろ!!」


俺と又吉は顔を見合わせて笑った。
嬉し泣きしている俺の肩には又吉の手が乗っていた。
やっぱりその手は今も…


温かいままだった。





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