この世界
□7/20〜23「彼女の真実」
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「気い使わしちまったみてぇだな・・・」
「あぁ。わりぃな、なりふり構ってられる状況じゃねぇって分かってんだけど」
先生が部屋を出ていった後、俺達はそう呟いた
「ううん、あれでいいの、これ以上は巻き込めないし・・・。ねぇ、私の抱えてる事情<モノ>本当に知りたい?」
インデックスは俺達の顔を見ながら聞く。ハァ、そんなの決まってる
答えはYesだ
「なんていうか、それじゃこっちが神父さんみてぇだな」
「あぁ、全くだな。それじゃ、聞かせてくれ、お前の事情を」
その後インデックスは俺達に話した。
宗教に政治を混ぜて、同じ神を信じる者同士が敵対した事、
魔導書の原理と存在する理由、
そして、それらのすべてがインデックスの頭に入っている事
すべての話しを聞いた俺と当麻は呆然としていた、余りにも話しの内容がシビア過ぎたのだ。それに、そんなに大きいモノをインデックスが抱えていたとは思わなかったからだ。
沈黙が部屋を包む中インデックスは一人呟いた“ごめんね”とその言葉に当麻は切れた。
当麻side
俺は直人と一緒にインデックスの抱えている事をすべて聞いた
沈黙が部屋を包む中俺はイライラしていた、何に対してかは分からないけど、俺はキレかけ寸前だった、しばらくするとインデックスは小さい声で言った
「・・・ごめんね」と
その言葉に俺はキレた
パカンとインデックスのでこを軽く叩く
「・・・・・ざっけんなよテメェ。そんな大事な事何で今まで黙ってやがッた」
なぜ俺自身がこんなにもキレてるか分からない、けど気に入らなかった。そんな俺を見てインデックスは両目を見開き必死に何かを呟く
「だって、信じてくれるなんて思わなかったし、怖がらせたくなかったし、その・・・あの」
わたわたと動揺し口を動かすインデックスの言葉は最後の方はもう何を言っているか分からなかった。それでも、嫌われたくなかったからという言葉はいやにはっきり聞こえた。頭の中でブチリという音を確かに聞いた
「ふ、ざけんなよ。ざっけんなよテメェ!!!」
俺はインデックスに掴みかかる
「ナメた事言いやがって、人を勝手に値踏みしてんじゃねぇ!協会の秘密?必要悪の教会?10万3000冊の魔導書?確かにスゲェよ、とんでもねー話しだったし聞いた今でも信じらんねえような無茶苦茶な話しだ!けど!」
「けど、たったそれだけなんだろ?」
その言葉にインデックスの目は見開かれる
「直人!お前から言ってやれ!」
「ああ、任せろ」
パチンと上げた右手に直人の左手があたる、交代の合図〈ハイタッチ〉をする。ガツンと言ってやれ直人
直人side
やれやれ、いきなり交代されても困るんだけどな。まぁ、俺も言いたい事ぐらいあるしな、さぁ、説教の時間だ!
「インデックス、何で俺達がここまで怒ってるか、分かるか?」
俺の問にインデックスは静かに首を横に振る、おいおい、マジでわかんねぇのかよ。
「ハァ、まぁさっき当麻の言った通りたったそれだけの事で俺達を値踏みしたのもそうだが、俺はインデックスが俺達の事を見くびってたのに腹が立っている」
ふつふつと俺の中の何かが沸き起こる感覚がする、どうやら俺も当麻のお人好しが移ったみてぇだな
「ナメんなよ、こちとらそんな理不尽な奴と戦うのが仕事なんだ。その程度の事でいちいち驚く訳がねぇだろ」
自分でも驚くほど低い声が出た、こりゃあ重症だな、恐るべし上条感染病
「言ったはずだぜ、インデックス。困った事があったら俺達を呼べって、何時でも何処でもすぐに助けに行くって。インデックスを俺達に必要だと、助けてくれと言ってくれ、そうしたら俺達は絶対にお前を守り抜いてやるから、な」
「・・・どうして?」
「あん?」
インデックスは声を震わせながら聞く
「どうしてそこまでして私に関わるの、どうしてそこまで私を助けようとするの!?私はいわゆる爆弾みたいな物なんだよ!何で何で!?」
インデックスは顔を俯かせふるふると震えながらそういった
「爆弾ねぇ、ハァ・・・インデックス、自惚れんなよ」
俺の言葉にインデックスの顔が上がる、こいつはいつまで悲劇のヒロインしてるんだよ、ムカつく、助けない回りにも何もしないコイツにも。
「この学園都市にはテメェ以上にドデカい爆弾持ってる奴なんざいくらでもいんだよ!何時までも自分だけ特別扱いしてもらえると思うなよ?」
それは当麻しかり、あの銀髪の幼馴染みしかり、俺しかり、な。この学園都市にはどんな奴でも大小関わらず爆弾〈やっかいなモノ〉を持ってる、だからムカつく、勝手に自分の人生に絶望していつまでもコッチ側にいるコイツが、自分の爆弾〈やっかいなモノ〉が一番だと思っているコイツが!
「何で、助けようとするのかって?んなの決まってんじゃねぇか」
そう当麻が言った後俺達は顔を合わせ同時に言う
「「ただ俺達はお前の手助けになりたかっただけだ」」
「は・・・!?」
インデックスは信じられないという表情でこちらを見る
「こちとらもうお前の中身は全部聞いたんだ、途中下車は嫌いなんだよ」
「ちったぁ俺達の事を信用しやがれ、それで返事は?」
俺達は未だに信じられない顔をしているインデックスに聞く、するとだんだんインデックスは泣きそうな顔になる。もう一押しだな
「なぁ、インデックス。確かに俺達はたった二人だ、けど、最強の二人だ!」
「お前を助ける為なら、神だって殺してみせる」
そう俺が微笑みながら言うとインデックスは涙をぽろぽろとこぼす、そして泣きながらもこう言った
「ひっぐ、とうま、・・・なおと・・・私を助けて」
ハァやっと言ったか、まぁ、答えはもう決まってる
「「 」」
え?なんて言ったかって?さぁな、ご想像におまかせしますってやつだ。ただ一つ言える事はその答えを聞いたインデックスが大声で泣き始めたって事だ
・・・その後、その声を聞き駆けつけた小萌先生にこってり乙女心についてご教示された事は全くの余談だ