【habit%癖】



まず旦那のお部屋を掃除する
塵ひとつ残さずに

それが終わったら、着慣れた装束に身をくるみ

俺さま気に入りの緑の忍び化粧を施す


最後に、旦那が綺麗だって言ってくれた夕陽色の髪に櫛を入れる


さぁ準備万端


目を瞑って旦那を想う
息を潜める

指先を骨ばった首に回して
ゆっくりと気管を絞めていく


意識がぼんやりとする
死の淵

心音が小さくなって、


『佐助、』

旦那の声が再生され
その瞬間、手から力が抜けて
望んでいた酸素が一気に流れ込む


こんなに気持ちいいことは無い




「またか」

息を切らしていると、旦那が部屋に入ってきた

「その癖は異常だぞ」

「あはは、」

まぁいいじゃないの。アンタの躯じゃないんだから、
そう言って余韻に浸る


「間違っても死んでくれるなよ。後始末が面倒だ」

真っ直ぐに眸を向けてくる旦那、
大きくてきらきらしてる旦那の眸は零れ落ちそうだと思った


「何の為にしておるのだ」

「何の為だと思う?」

「意味など無いのか?」

「あるよ、」





どうやらおれさま、生きているらしいです


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