【macabre%死を思わせる】




「旦那が虎なら、おれさまは烏さんかなぁ」
突然戦忍が独り言る

「何の話だ?」

「うーん…似てる動物?」

烏さんだよなー、きっと

と首を傾げている

「烏殿…お主はたまに喋っておるよな」

「まぁね、おれさまの使役は忍鳥が主だからねー」
何でもないようにそう言うと、庭にいた烏殿が一匹近付いて来た


「ん?何?嬉しいの?可愛いねぇ」
母の様な眸で烏殿と喋る戦忍

「お主は動物に好かれてよいな」
やはり優しいからであろう?
と続ける

「旦那だってお優しいでしょ?ねー烏さん」
烏殿は応えたように一鳴きした

「某は生き物に避けられてしまう」

「あはは、虎のにおいに怯えてるんじゃない?」

…笑い事ではないぞ

「旦那はいつか、ほんとに虎になっちゃうんじゃないかな」

「ではお主も烏殿になるのか?」

「そうかもしれないね、」

「佐助、」
そっと目を細めた戦忍のその表情に
息が詰まるような心持ちがした

「きっと皆に嫌われるんだろうね、」
ただ生きているだけなのにね?と呟く

烏殿がまた鳴いた


「某は烏殿が好きだぞ」
美しい黒の毛並みを誇らしく思う
何より彼等は賢い

そう言うと、佐助は狼狽して

「ありがとう、旦那」
今にも泣き出しそうに呟いた



(烏は太陽の元へ帰る)
(太陽に焦がれ、近付いた為にその美しい羽を焼かれ)
(果てには声まで涸れてしまった)

(それでも、)
(眩しくては暖かい太陽が烏の帰る場所だった)



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