ハンプティ・ダンプティの書庫

□残酷劇―グランギニョル―
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「う、あぁあああっ!」

冬朽蒼は、叫びながら身を起こした。

少年にしては細い体を小刻みに震わせ、蒼は荒い息を繰り返す。

「はあっ、はあっ、はあっ、」

…夢。
夢を、見た。
小学生のころの、それは記憶だ。高校生になってもまだ引きずったままの、【悪夢】だった。

好きな女の子が、死んでいた。

けれど彼女は、自分に向けて何かを囁いたのだ。

…思い出せない。

否。想像はつく。
きっと恨み言だ。突っ立ったままで、何もできなかった自分への、呪詛だ。

「っ!」

胸に溢れるのは、後悔。

助けられなかった、後悔。

蒼は、左腕に爪をたてた。
あの日から、無意識にやってしまう。

おそらく、贖罪。

傷痕だらけの腕は、きっと彼女への捧げものだ。

「ごめん…ごめんなさい…」

蒼は、呟く。
少女のような可愛い顔を、苦痛に歪めて。


夜が――明けた。
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