ハンプティ・ダンプティの書庫

□残酷劇―グランギニョル―
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朱い。

ただ、朱かった。

真っ白な肌も、長い黒髪も。

朱に。染まって。

「はぁっ…はぁっ…」

息が切れてる。
ぼくが、殺した?
ころした?

…違う。

殺してない、はず。
だって――

「…ま、い?」

呼びかける。
人じゃない、朱いモノに。

ただの、朱い肉の塊に。

「舞…まい?」

答えはない。

わかってた。

けど、呼びかけずにはいられなかった。


――好きだった。


好きだった。可愛い女の子だった。
小学生とは思えないほど大人びた彼女。

いつも綺麗で可愛くて、ぼくは彼女が好き【だった】。

いまは、朱い肉。

こんなの、彼女じゃない。

好き【だった】。

通った鼻筋も、薄い唇も。
特に、目。
大きな、澄んだ瞳。

いまは虚ろな――

…否。

見て、いる?

「…ひっ」

その目はぼくを映していた。

そして、甘い声で言うのだ。


「――******」


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