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□ハー子誕生日記念
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昨日までの暑さと青空が嘘のようだ。ハリーは灰色の空を見上げて溜め息をつく。今にも泣き出しそうな空だ。
まったく秋の空は変わりやすいとはよく言ったもので、最近はコロコロと天気が変わるものだから安心してクィディッチの練習もしていられない。
そんなことを考えながら、ハリーは視線を空から隣を歩くハーマイオニーへと移した。真一文字に結ばれた彼女の口からはいつものお節介も勉強の話すら出ない。彼女は、つい今しがたロンと喧嘩したばかりだった。
「……ねぇ、ハーマイオニー」
「何、ハリー?」
黙々と歩くのに耐えられなくなったハリーが声をかけると、ハーマイオニーはいたって冷静に、否、冷静を装った声で答えた。
「あのさ、ロンと……」
「ハリー! あなた、魔法史のレポートでわからないところがあるって言ってたわよね? 今から図書室に行ってやりましょう。わたしも丁度、調べるものがあるから」
早口でそう言うと、ハーマイオニーはさっさと歩いて行ってしまう。ハリーは肩をすくめた。
「待ってよ、ハーマイオニー!」
女心と秋の空。
泣き出しそうなのは空ばかりではないのだ。




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