小話

□居場所
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ご注意!

シリウス×ハリーっぽいです
中学の頃書いたので3割増しくらいで乙女文です
当時好きだったシリハリ作家さんの影響大です…すみません

それでもいいぞと言って頂ける方は以下へどうぞ










雪が降っていた。

真っ白い綿が敷きつめられたような地面にひとり。
小さな小さな影がひとつ。
あたり一面の白に埋もれそうになって座りこんでいる。
「……さむ……」
ハリーは両手で、寒さのため紅潮した頬を包んだ。
その手にてぶくろ。
大好きなひとからの贈り物。
凍えそうな寒さからてぶくろにすがって座りこむ。
冷えきった体に手のひらだけがあたたかかった。


居場所   


12月24日――クリスマス・イブ。

「ごめんなさい、ハリー」
本当にすまなそうに謝るハーマイオニーの顔。
「僕も、ホグワーツに残りたかったんだけど」
そう言ったロンの心配そうな面持ち。
昨日の二人の声と顔を、今でも容易く思い浮かべることが出来た。
どうしても抜けられない家の用事があるからと、二人に持ちかけられた時、ハリーはどうしても沈んだ表情を隠せなかった。
それでも。
「シリウスに会えるんだろう?」
どきっとした。
心を見透かされたようで、心臓が高鳴った。
ここ数日ハリーがそわそわしていた様子を、ロンとハーマイオニーはちゃんと見ていたようだ。
けれど、少々の誤解はそのままに――
今度は感情を押し殺して笑った。
笑えていたようだった。
それで2人の友人は納得していたようなのだから。
「よかったわね、ハリー」
ハーマイオニーの言葉に、ハリーは偽りの笑顔を貼りつけたまま、頷く。
そうしていないと、込み上げてくる淋しさに負けてしまいそうだったから。
2人に心配はかけたくない。
……ずっと夢見てたけど
……会いたいって手紙も送ったけど
――シリウスから連絡は来なかった。
なんにも。
なんにも……

明日なんか、こなければいい。

夜の冷気が忍びこんでくる。布団を引っぱり上げて、ハリーは震えた。
冷たい闇のなか、ひとりで眠る夜。
天蓋付きのベッドの天井が、見つめるうちに歪んで、揺れた。

その夜は眠れなかった。


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