小話
□監督生日記
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封書が来た。まさか、と思っていた。
ジェームズとシリウスが覗きこむ手前で開いて、一斉にうへぇと和音になる。
成績は上の中、それも顔を歪めて左右を取り囲む連中に比べればかすむように平凡で
なにで活躍したわけでもない
……僕に。
「これって」
「ああ、リーマス。がんばれよ」
ジェームズが寒い笑い声を出してリーマスの視線を受け止めた。
シリウスは目の色を変えて椅子から立ち上がった。
「見せろ。ダンブルドアのサインだ。ああ何考えてんだあの爺さんは?」
リーマスが広げた羊皮紙を指差し、シリウスが興奮ぎみに声を高くして言った。
ジェームズは「ううん……」と腕組みする。弱ったなぁという顔で首のうしろをかいた。
「よかったじゃないか、リーマス。おまえの日頃の生活態度が認められたんだな」
シリウスが嫌味っぽく言い含めるのは、最近のいたずらでリーマスから後ろめたさを感じさせられたことへの仕返しだ。
「そう、かな。どうなってるんだろ」
リーマスが再び書面に目を落としてから顔を上げると、ジェームズとシリウスがやけに遠ざかっていた。
「うーん、って……あれ?」
「寄るな。お前は学校の手に落ちたんだ!」
「監督生の友人なんてごめんだ!」
声をそろえまくしたてられた。
誰に託したらいいのかわからない疑問符を抱えて立っている。
すでにこの二人の中の異分子になっているのかと考えてみた。
バッヂを取り出して光の中に掲げると、いっそう敵意のまなざしが集まるのを感じた。
「僕はね、選ばれたからにはちゃんと責任を果たすつもりだよ」
言ってみたら、うん、これでいいんだという確信が持てた。
ジェームズとシリウスは怖気づいたように一瞬ひるみ、言葉を失っていた。
あ。 面白いかもしれない。
「へ……な? なんだその宣言は!」
最後に目を見交わせたときのダンブルドアの笑みの理由をいまわかった気がした。
「二人を、頼むぞ」
そんなセリフが似合いそうな。
***
→おまけの監督生ふたり