目隠し鬼
□第1鐘
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始まりは、純粋な好奇心。
1週間前の平日放課後。
俺達6人のグループは遊び好きでよく知られていた。
暇さえあれば隠れんぼ鬼ごっこ缶蹴り何でも始める6人。
その中の一環として、たまたまその時選んだ遊びが、"目隠し鬼"だった。
毎日の如く部活に混じって校庭で遊んでいる俺達は、何らかの理由で校庭を使う部活がいなかったことに心を踊らせていた。
鬼をやった順番が思い出せない程、日常の一コマとして過ごしていたその時、
事は、起きた。
仲間の1人、石蕗・十彩(といろ)が、鬼として目隠しをした瞬間。
調度俺は鬼を済ませた処で、空も大分紅く染まっていた。
帰った方が、いいかな。
一昨日に帰りが遅く、少し怒られたばかりだということも有り、早めに切り上げようと思った、まさにその時。
「……何、アレ…っ」
上着を羽織った少女、岸夜・磨緒(きしや・まお)が呟く。
視線の先には太陽。
そしてそれがーーーーーーーーー闇に、呑まれていた。
紅い空の西に、黒い円形が浮いている。
ただならぬ気配を感じ、みんなが太陽を見上げている。
目隠しをして見えないはずの石蕗も、それを見上げていた。
「みんな、こっちに……」
絞り出したような、とても小さな俺のその言葉で、4人は小走りに寄って来る。
「石蕗っ!目隠し外して、早く来いっ」
言われた通りに石蕗は動いたーーーーーーーーーー様に見えた。
目隠しを外した石蕗は、そこから動こうとしなかった。
ただ呆然と突っ立って、異様な光を湛えた太陽を見上げている。
「………?」
どうしたーーーーーーーと呼び掛けようと開いた口は、他の言葉を発する事になった。
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