Dぐれ Short Story

□現実逃避
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時々、無性に自分が消えて無くなりたいと思うときがある

自分のことも、仕事も、なにもかも嫌になって

いっそ死ねたら楽なのかな…って思ってしまう



今日はなんだかそういう気分で
室長のところに書類を持って行くふりをして
教団の中庭にサボりに来た

そこは数日前から降っていた雪が積もっていて
私はその雪の上にねっころがって目を閉じる

ずっとこのままでいたら
消えて無くなりそうだな…本当にそうなったらいいな…


そんなことを考えていたら「こんな所でなにサボってんですか」と上から声がして
ゆっくりと目を開けると
呆れ顔のリーバーが立っていた

「こうしていたら
なんだか消えて無くなりそうな気がしてさ…
だからこんなことやってんの」

「…この前もそう言って仕事サボってましたよね」

「仕事サボるなんて班長失格だよね」

「そんなことないっスよ」

リーバーは私の手を掴んで引っ張って立たせて髪や服についた雪をはらってくれた

「また全部が嫌になったんですか?」

「…そう、だね」

「じゃあ、俺のことも嫌になったんですか?」


一瞬、息が止まった

リーバーがとても哀しそうな目で私のことを見たから

「嫌じゃない…」

嫌になるわけがない
辛いとき、悲しいとき、嬉しいとき、楽しいとき…
いつもリーバーがそばにいた

私がこの世のすべてが嫌になっても
リーバーだけは嫌にならないだろうな

「だったら、消えて無くなりたいだなんて言わないでください
名無し班長がそう言うと本当に無くなってしまいそうで怖いんです…
だから、俺のことを嫌になるまで消えてたいとか思わないでください…」

そう言ってリーバーは私のことはきつく抱きしめた

リーバーの体はとても暖かくて冷え切っていた体と心が
ゆっくりと溶かされていく感じがする


「ありがとう、リーバー…」

心に溜まっていたものをはきだすようにぽろぽろと涙を流した

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