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□再会
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−それにしても…−
小狼は久しぶりに会う、愛しい人の横顔をじっとみつめる。
−あれはまずかった−
さくらに抱きつかれ、始めこそ嬉しさで心が満たされていたから良かったものの‥‥数秒たてば自分の頭が少しずつ状況をのみ込みはじめる。
首に回された腕。
密着する胸。あらゆる所から彼女の温もりが伝わって来る。なにより、すぐ近くに聞こえる彼女の吐息が小狼を舞い上がらせた。心臓が早鐘のように鳴りだし、このままではさくらに聞こえてしまうんじゃないか、という所で耐えられなくなって、思わず体を離してしまった。
小学校のころにも何度か抱きつかれ、真っ赤になってしまった記憶が鮮明によみがえるが久しぶりの彼女の体は思ったより、やわかくて、ずっと女の子らしくなっていて…
さくらは、せっかく2人切りになれたのに、さっきから全く言葉を交わさないどころか、こちらを見ることもない。
−もしかして今朝のことが原因なのだろうか−と不安になり意を決して話しかけようとしたとき‥‥

ちらりとこちらを向いたさくらと目が合ってしまった。
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