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□invite my girl
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放課後
友枝中学校の昇降口は、まだ小学校を卒業したばかりで、あどけなさの抜けない顔立ちの学生たちで溢れている。
入学したての新1年生は、まだほとんどが正式に部活動に参加しておらず、下校も少し早いのだ。

賑わう周りの生徒たちをよそに、小狼は静かに目を閉じて、校門の横にもたれかかり、誰にも気づかれないよう、小さくため息をついた。

−なんて、言えばいいんだ…−
もともと、小狼は今週末には、必ずさくらをデートに誘うことを心に決めていた。
今年のさくらの誕生日には、一応、手紙と、いつもより少し長めの電話で香港から、祝の言葉を述べたのだ。しかし、せっかく一緒にいらるようになって、誕生日もまだ数日しか過ぎていないとなると、もっと、さくらが喜ぶようなことをしてやりたかったからだ。ところが、先ほどから何度考えても、上手い誘いの言葉が見つからない。
また、好きな女の子をお出掛けに誘う、という、恥ずかしさも小狼の心をかき乱していた。
−デートか…−

普段聞き慣れない言葉が連想されて、思わず顔が赤くなりそうになるのをこらえる。

−ち、ちがう、たださくらの誕生日祝に…少し一緒に出掛けるだけ…−

−それをデートと言うのか…?−

もう、自分自身でも分けのわららないようなやりとりが、一段落しようとした時、ふと自分の名前が呼ばれていることに気づいた。
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