ANSWER
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そして、ついについに、憂鬱なその日が来てしまった。
自然教室。
ああもう、どうして熱出なかったの私のばか!
昨日布団かけずに寝たのに!キャミソールだけで寝たのに!
「三浦さん、これあなたのですか?」
「え?」
振り返れば黒崎先生が居た。
おお、私服格好いいですね。
なんてことを考えている場合ではなく、彼が手に持っているのは確かに私のものだった。
「ああ、はい」
「熱心ですねー」
「そうですかー?」
黒崎先生から理科の問題集というか暗記用本というか、まあテスト勉強のため本の類のものを受け取る。
そりゃあ理科の教科委員である手前、酷い点数を取るわけにもいかない。
それに、特に目立って仲のいい友達と同じ部屋なわけでもないし、寝る前にやろうかな、と思っていただけ。
そんなに熱心なわけでもないのだけれど。
……どうなんだろう。教科委員だから頑張るのか、黒崎先生にほめてもらいたいから頑張るのか。
自分自身のことがわからないとか、私そうとう末期だなあ。
「多分暇になると思ったので」
「ふうん、暇つぶしか」
「まあ、そんな所ですかね」
暇つぶし、といわれたのがほんのちょっとだけ心にひっかかった。
黒崎先生が本気で理科を愛していることは知っている。
だからこそ、暇つぶしだなんて冒涜だ、って思われたら嫌だな、と思ったのだ。
「頑張ってくださいね」
「あ、はい」
ぐわーっと熱が顔に集まってきたような感覚がした。
……もしかして私顔赤い?
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