文
□世界の色が変わった日
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[はい、これ、君のだろう?]
相変わらずの筆談で少女に帽子を渡そうとすると、突然の出来事に動揺したのか、どこからか出した巨大なカッターを突き付けられた。
え…
えええええええええ!?
[お、俺、何か悪いことしましたか!?]
あまりの展開に驚いて聞いてみると、少女は我を取り戻したようにカッターを仕舞い、帽子を受け取った。
「突然すまない、私は男の人が苦手でな。近付かれるとどうしても反射的にこうなってしまうんだ」
[そ、そうなんだ…ごめんね、俺、事情も知らずに近付いちゃって]
自分の不注意を謝ると、お前が謝る必要はないぞと少女は困ったように笑った。
(あ、この子、笑うんだ)
初めて見たその笑顔に、不覚にもときめいてしまった。