□世界の色が変わった日
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満開の桜のトンネルの中、新入生がぞろぞろと下校している。
俺たちもその中に紛れて歩いていた。

こんなに咲くならカメラ持ってくれば良かったな、と何気なく桜の木を見上げると、その木に引っ掛かっている帽子のようなものが目に入った。

今日は風が強いから、きっと飛んでいってしまったのだろう。


(誰の帽子だろう…?)


気になって周りを見渡すと、その帽子を見つめて困ったような顔をした小柄な少女が一人立っていた。


(届かないのかな)


身長からして届かないのだろうと思った俺は、没くんに先に行くよう促すと、その帽子を取るために枝に手を伸ばした。



 
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