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□世界の色が変わった日
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女性経験が全くと言っていい程なかった俺には、初めてのこの胸の高鳴りに戸惑うことしかできず、一人でパニックに陥っていた。
「どうした?なにか言いたげだが」
[い、いや、なんでもないよ]
「…そうか。帽子、ありがとな」
そう言って、さっきよりもずっと綺麗な笑顔で頬笑んだ君。
その笑顔は反則だ。
(俺、顔赤くなってないかな…)
そんなことを考えてる俺をよそに、何も知らぬ少女はそのまま行ってしまった。
少女が去った後も、胸の高鳴りは治まらなかった。
(…あ、名前聞くの、忘れちゃった)
世界の色が変わった日
きっと、この日の為に
俺は生まれて来たのかもしれない。
そう思った入学式。
後日、少女が同じクラスだったということに気付き、赤くなる顔を隠すため紙を顔に貼ったということはまだ誰にも話していない。
→あとがき