その他×ツナ 1

□兄貴分といっしょ
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「・・・あの。ディーノさん・・・・・・」


「ん〜〜?」


おそるおそる首を捻ってナナメうしろを窺えば、美しい金髪に、世の女性が虜になるだろう甘いマスクの王子様。
彼ひとりいるだけで、ごくごく平凡な一般中流家庭の俺の部屋まで、キラっキラ輝いて見えるのは一体なんの幻覚だろう。

ちなみにその王子様は今、部屋でテレビを見ている俺を後ろから抱き込み、長い両足の間に俺を挟んで座っている。
さっきからなにが楽しいのか、俺の髪を撫でたり、ぎゅうぎゅう抱き締めては満足気な吐息をもらしていた。

「どうした?ツナ」

髪を撫でる手を止めて俺に問い返したディーノさんは、いつもキリっとしている美貌をふわりと綻ばせ、蕩けるような優しい微笑みを顔に乗せた。
甘い、としか言いようがない笑みに、思わずぽわっと見惚れてしまう。
純粋に再会を喜んでいるのだろう兄貴分に、「恥ずかしいからもう放してください」とは言えなくなり、俺はぐっと口をつぐんだ。

「・・・えっと。なんでもないです・・・。ただ、その、ディーノさんに会えて嬉しいなって思って」

とりあえず思いついたことを言ってみる。照れくさくて、へへ、と笑って誤魔化した。でも、これは本当のこと。

「・・・っあ―――――!!連れて帰りてえっっっ!!!!」

ディーノさんが驚いた顔で俺を見たのは一瞬で、すぐにギュギュ―――っと強く抱きしめられた。

「うわっ!!苦しっ!!苦しいですって!!!」

「なんでこんなに可愛いんだよ!!反則だろ!!なぁ、それわざとか?わかっててわざと言ってんのか??」

頬ずりしながら、ディーノさんがわけのわからないことを言う。意味が解らないので、俺にはそれが質問なのか独り言なのかも判断できない。

「あの・・・っ、わざとっていうか、思ってたことを口に出しただけで。俺だって、ずっとディーノさんに会いたかったし!」

ディーノさんは、いつも忙しい。継承式のときちょこっと会ったけど、俺もそれどころじゃなくて全然話なんかできなかった。
だから、ディーノさんが日本に来た理由がリボーンに呼びつけられたせいだとしても、久しぶりに尊敬する兄貴分に会えて嬉しいという気持ちは、嘘でもなんでもないわけで。

「やばいだろ、これ」

至近距離にある美しい顔のつくりにドキドキしながらそう説明したら、ディーノさんは溜息をついて掌で顔を覆ってしまった。

「かわいすぎる・・・・・」

「ディーノさん?」

大袈裟なほど感動しているディーノさんに、なぜか意志の疎通ができていない気がして俺は首をかしげる。
おかしいな。言葉は通じてるハズなんだけど。

くるっと俺の身体の向きを変えさせ、ぐっと俺の両肩を掴んだディーノさんは、真剣な顔で俺の目を見た。

「いいか、ツナ。俺以外の奴に、誰かれ構わずそんな顔でそんなこと言うなよ?でないとお前の身が危険だ。俺はいつもツナの傍にいてやれねぇし、守ってやれるとは限らねぇからな」

「・・・・はぁ?」

これは、きっと、アレだよな。マフィアのボスとしての心構え云々。
でも別にそれは心配する必要ないんだけどなぁ〜。だって俺、ボスにもマフィアにもならないし。

「・・・・・・すげぇ心配になってきた」

曖昧に首を傾けた俺を見て、ディーノさんは理解していないと思ったらしい。眉間にしわを寄せて苦悩の表情を作った。

「ま、いっか。とりあえずしばらくは俺も日本にいるわけだし。何かあったら絶対俺に言えよ?」

俺が一緒なら安心だ、と言って、ぐしゃぐしゃと俺の頭をかき混ぜたディーノさんに、俺は素直に「はい」と頷いた。
取り越し苦労だとしても、やっぱり心配して貰えるのは嬉しい。もし俺に兄さんがいたら、こんなカンジかもしれないなぁと思うと、ふにゃあっと頬が緩んだ。





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