その他×ツナ 1
□おとといきやがれ
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イタリア ボンゴレ本部
ここは、現ボスである綱吉の強い意向により、各守護者に合わせたトレーニングルームが完備されている。
その1フロア、雨の守護者専用の道場に、全くタイプの異なる美丈夫が2人。
「あれ、なんだよ。もう行っちまうのか?まだ来たばっかじゃねぇか」
驚いたように声をかけるのは、雨の守護者、山本武。
精悍な容貌と鍛えこまれた体躯に、日本刀を持った藍色の袴姿が一層引き立つ。
「ああ。予定が詰まっててな。もともと、ココには完成したっていう道場を見に立ち寄っただけだ」
そう答えるのは漆黒のヒットマン、リボーン。
スラリとした長身に、闇よりも暗いイタリア製のスーツを身にまう、溜息がでるほど整った顔立ちの色男だ。
「そっか。相変わらず忙しいな。・・・ここさ、並盛の地下アジトと親父の道場をベースにツナが作ってくれたんだぜ。なんかすげー落ち着くからさ、毎日必ず来るんだ」
「だろうな。見りゃわかる」
ふん、と鼻で嗤ってやるのは、相変わらず仲間に甘い教え子が、誰の為に何を考えてここを作ったかなんて、一目了然だからだ。
自分に対してはズボラで無頓着なくせに、他人のことになると人一倍繊細な気遣いを見せる綱吉に、リボーンは少なからず苛立ちを覚える。
「あー、並盛のアジトといえば、前に小僧に特訓つけてもらったことあったよなー。あんな小っせえのに激強でさ。あんときゃマジでびびったぜ」
ハハハと懐かしい話をするのは、もう10年以上も昔のこと。
今はもう、かつて白蘭を倒すために飛ばされた時間に追いついているわけだが、やはり、あの悲惨な未来はやってこなかった。
綱吉は10代目ドン・ボンゴレとして名を馳せ、ミルフィオーレのような危険な組織が生まれることのないよう、常に目を光らせている。
「昔話とは、お前も歳くったじゃねぇか」
クク、と嗤うリボーンを、山本はふと思いついたようにじっと見る。
「?」
「・・・今の小僧とやったら、俺勝てっかな」
あ、また小僧って言っちまった、と言ってあははと笑う山本を見やり、リボーンが嫌そうに眉を跳ねあげる。
「・・・おい。まさかボンゴレが誇る2大剣豪の1人とわざわざ手合わせしろってのか?腕試しなら、雲雀あたりにでも頼むんだな」
いつでも相手してもらえるぞ、と肩をすくめたリボーンに、山本は「そうじゃねえって」と苦笑いする。
「ホラ、前小僧に特訓してもらったときは、最後にヒミツ教えてくれただろ?」
「ああ、そうだったな・・・なんだ、ご褒美がほしいってのか?」
「ん。だから、今度俺が勝ったらさ、ツナ、くんねーかな?」
「あぁ?」
サラっと言われたとんでもない提案に、さすがのリボーンもいつものポーカーフェイスを崩して呆れ顔になる。
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