その他×ツナ 1

□気になる"あの子"
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澄み渡った蒼い大空に、ふわふわした黄色い鳥が1羽。

パタパタと羽音をさせてポフっと身を落ちつけたのは、並盛中学校風紀委員長、雲雀恭弥の黒髪の上だった。
彼は敷地内で最も高い場所――校舎屋上の貯水タンク前に座り、校庭の一点をじっと見つめている。
心地よい静寂を破ったのは、ギィッという錆びついたドアの開く金属音と、下からこちらを見上げる見知った気配。


「や−っぱここにいたか。恭弥。応接室にいなかったから、こっちだと思ったぜ」

「何しに来たの、跳ね馬。もう用は済んだんだからイタリアに帰りなよ」

「おいおいご挨拶だなー。帰る前に教え子の顔を見に来ただけだろ?そうつんけんするなって、な?」

相変わらずかわいくねえなぁー、ツナと大違いだぜ、とぼやく金髪碧眼の美男子は、リング争奪戦の為にリボーンに呼ばれた雲雀の家庭教師だ。
修行期間中にすっかり雲雀の憎まれ口に慣れた彼は、へらっと笑って受け流す大人の男だ。

「じゃあもう用は済んだね。学校は関係者以外立ち入り禁止だよ」

「お前なぁ・・・」

さっさと出て行けといわんばかりの空気に、やれやれと息を吐いて、ふと違和感に気付く。
雲雀が、先ほどからディーノの方を全然見ていないのだ。

どんな時でも捕食者の目でまっすぐ相手を見据える彼らしくない。

よっと反動をつけて、自分も雲雀のいる場所まで跳び上がる。
そこは、並盛中全体が見渡せた。とくに、この方角は校庭がまる見えだ。


「ん?・・・なあ恭弥。あれ、何だ?」

軍事訓練かなんかか?と言って、校庭に整然と並ぶ生徒達を興味津々に指差す。
ちらりと横目でディーノを見て、さすがに呆れたように雲雀が答える。

「何って・・・・全校朝礼だよ。知らないの?」

「ぜんこーちょーれー??」

察しのいい雲雀は、イタリアと日本のシステムが違うだろうことを悟り、日本の多くの学校では、月曜の朝はああして全校生徒が集まり、校長の話を聞くということを渋々ながら端的に説明した。

へぇぇーーと感心したようにディーノが頷く。

「・・にしたって、なんで日本人ってのはああいう窮屈なのが好きなんだろうなー。まるで軍隊だぜ」

うへぇ、と苦い顔を作って、下に控えるロマーリオに軽口を叩くと、ロマーリオも慣れたもので、「ボス、日本人じゃなくてよかったな」などとケラケラ返してくる。

ただ、ロマーリオと会話しながらも、ディーノの目は注意深く雲雀の様子を窺っていた。


やはり、雲雀は校庭から目を離さない。

というより、瞳が全く動いていない。
それは、あの生徒の群れの一点を見つめていることを示している。
だが、目線を追っても、同じような背格好で同じ制服を着た中学生達の群れだ。しかも日本人は皆同じ顔に見えてしまい、さすがのディーノも見分けがつかない。

そんなに目立つ生徒はいないようだが・・・。


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