その他×ツナ 1

□名前を呼んで
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笹川了平は、たった今歩いてきた廊下をパタパタ追ってくる人物に気付き、足を止めた。

「了平さーん」

成人男性にしてはやや高めの柔らかな声が、了平を呼ぶ。

細い髪質の癖っ毛がふわふわと揺れ、華奢な身体にこぼれる笑顔は少女でも通りそうだ。
顔の造作はそれほど整っていないのに、何故か見るものを引き付けるのは、意志の強さが垣間見える琥珀色の瞳のせいかもしれない。

「あー、良かった、追いついて」

「おう。どうした、沢田。何か忘れ物か?」

「はい。すいません。さっきお願いした作戦の資料で渡し忘れたものがあって・・・あ、コレです」

すっと数種類の資料が差し出される。

「おお!そうか。わざわざすまなかったな!」

「いえ。後から送るよりは早いですから」

ふわりと微笑んで、綱吉は簡単に資料の内容を説明する。
フムフムと聞いた了平だったが、「よし分かった。だがおそらく極限に忘れるぞ!」と自信満々に言い切り、「忘れないでくださいっっ」と綱吉をうろたえさせた。

「では行ってくる。沢田も無茶せずがんばれよ」

「・・あ、ハイ、ありがとうございます」

無茶苦茶な割に、最後の最後で年上らしいことを言うから、綱吉はくすぐったくなってへにゃりと笑う。

「了平さんも、気をつけて行ってきてくださいね」

「極限任せろ。終わったら報告に来る」

じゃあ、と互いに手を振って別れて。
とりあえず了平に同行する部下に、しっかりきっちり作戦の説明をしておこうと心に決めてくるりと振り返ると。


「―――・・・」


背後に、並盛最強にして最凶の風紀財団の長が立っていた。


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