山本×ツナ2

□拍手短文 山ツナ1
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「あででででっ!!」

「うわっ!ごめんっ!キツかった!?」

不器用な手つきで、綱吉は山本の胴まわりの緩んだ包帯を巻きなおしているわけだが・・・・・・ただ単に布を巻きつけるだけの作業が、なんでこんなに難しいのか。
しかし生憎、綱吉の家には今誰もいない。
自分でうまく巻き直せない山本は、不器用この上ない綱吉を頼る以外になかったのだ。
四苦八苦して、ようやく要領を得たころ、綱吉は、山本の包帯が緩んだ理由を思い出す。
帰り道で例によって例により不良に絡まれ、あわやボコられる寸前だった綱吉を、鮮やかに救出してくれたのが山本だった。
日も落ちていない早い時間に偶然彼が通りかかったのは、怪我のせいでまだ部活に復帰していないためだ。

「っていうか、ごめん。俺のせいで・・・その、傷大丈夫?痛くない?」

「違うって!ツナのせいじゃねーよ!」

しゅん、となってしまった綱吉は、ケガ人を必要以上に動かしてしまったことを悔やんでいる。実際は、綱吉が止める前に山本があっさり相手を倒して終了しただけだったが・・・。

「俺が勝手に止めに入っただけなんだからさ。気にすんなって!」

「でも・・・・」

「ダチが絡まれて困ってたら、助けんのが当たり前だろ?」

そう言ってくしゃっと頭を撫でられたら、綱吉は何も言えなくなってしまう。
けれど今、山本は怪我をしているのだ。
その怪我でさえ自分に全く責任がないとも言い切れない綱吉は、苦しそうに眉を寄せた。

「そりゃあ、山本がそうやって、いつもオレのこと助けてくれるのは、すごくすごくありがたいよ?けどさ・・・それでも、やっぱりキズに障るようなことは、してほしくないんだ。あの時だって―――――いくら大事な闘いだって、病院抜け出して島まで追って来るなんて無茶するし」

むぅ、と怒った顔で綱吉がぼやくと、ちょっと困った顔をして、山本が笑った。

「わりぃ。けど、こればっかりは性分っつーかさ。いっくらツナの頼みでも、ゆずれねーんだよな」

(――――あれ?)

ピタリと手が止まった。
ひとつのキーワードが妙に心に引っかかる。

「友達を・・・助けることが・・・?それって、山本の“誇り”ってこと・・・?」

気付けは、言葉はひとりごとのように、ポロリと綱吉の口からこぼれていた。

「ん?」

「そういえば、俺、山本の誇りってなんなのか、まだ聞いてない・・・・・」

「・・・・・・・・・」

じ、と見つめてくる琥珀色の瞳は透明で真摯だ。


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