山本×ツナ2

□誰にも言えない ※R18※
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 「――――ツナ、今日ウチ来ねえ?」

 何の気なしに山本がいつも口にしていた誘い文句が特別な意味を持つようになったのは、ごく最近のことだ。
 それまではオレの隣に獄寺君がいようとエンマがいようとおかまいなしに誘っていたのに、ここ最近、山本はオレがひとりの時を狙うようにしてこっそりと声を掛けてくるようになった。まるで他の誰かに聞かれたらマズイ話でもするかのように声を潜めて。いつもより、少しだけ早口で。

 「今日って・・・山本、部活は?」

 日直の仕事中。資料室に向かうために人気のない廊下を歩いていたら山本に追いつかれて驚いた。
 内心の動揺を押し殺し、平静を装って隣に並ぶ端正な横顔をちらりと見上げる。

 「あるぜ。けど、こないだと同じくらいの時間ならヘーキだろ?明日は土曜だし」

 「・・・・・・・・・。えっと・・・」

 そりゃ、平日の夜に用事なんかあるわけがないから、ヘーキかと聞かれればもちろんヘーキに決まってるんだけど。
 だけど。でも・・・・・・。
 すぐに「うん」と言えなくて口ごもったオレの逡巡を見透かしたように、山本が声を落としてぼそりと言った。

 「・・・今日、オヤジ帰らねえんだ」

 「・・・っ」

 思わず息を呑んでピクリと肩を揺らしてしまった。動揺をあらわにするオレを面白がるように、山本がふっと目を細める。
 少し屈んでオレの顔を覗きこんできた山本の顔には、ドキリとするような欲望の色が滲んで見えた。

 「俺、ツナとしたい」

 いつもより余裕のないその声に呼応するように、カッと身体の奥が熱くなる。くらりと目眩に襲われて、真っ昼間から悪い夢でも見ているような気分になった。



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