山本×ツナ2

□重なるぬくもり
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 ひゅぅぅぅっと吹き込んできた冷たい風にぶるっと身を震わせる。

 「―――寒っ!!!」

 ガタガタ震えながら亀みたいに首を竦ませて早足で歩く。頬を刺す風は冷たくて、かじかむ指をポケットに突っ込んでもまだ寒い。

 「ああもう、ホンっト最悪・・・!!」

 補習中に居眠りしたのがマズかった。目が覚めたら真っ暗で、おまけにめちゃくちゃ寒くなってたんだからもうどうしようもない。
 ていうかそもそも、今朝ランボの奴がふざけて暴れたりしなければここまで寒くは―――・・・!

 「―――よっ!」

 「うわぁっ!?」

 いきなりポンと肩に手を置かれ、驚きすぎてビクゥっと飛び上がった。はずみで肩にかけたカバンがドサっと滑り落ちる。

 「ハハハ、驚きすぎだろ、ツナ」

 「や・・・山本ぉ〜!?」

 オレが目を真ん丸にしてビックリしているうちに、山本はひょいと長身を屈めてカバンを拾い上げ、「ホイ」と手渡してくれた。

 「あ。ご、ごめん山本。オレいまちょっと考え事してて・・・」

 「ん?いーっていーって!」

 男らしい端正な顔で、山本がにっこりと微笑む。ああ、夜目に見てもなんて爽やかなんだ。いつ見てもカッコいい・・・!
 思わずぽわっと見惚れて、そんな自分を誤魔化すように慌てて口を開いた。

 「め、珍しいよね、山本と帰りが一緒になるなんて。今日は部活が早く終わったの?」

 「や、そーいうわけでもねぇんだけどな」

 肩を竦めて答えた山本は、オレを見てニヤリと笑った。含むような眼差しを向けられて、意味もなくドキッとする。

 「部の奴にツナ見かけたって聞いたからさ、すぐ走ったら追いつけっかなーと思って。速攻で後片付け済ませて飛んできた」

 「えぇ?なにそれ?」

 「だってツナ、補習始まる前に獄寺を先に帰らせてただろ?こんなチャンス逃す手はねぇよなーって思ってよ」

 「チャンス??」

 「そ」

 なんの?と聞こうとしたオレはニッコリ笑った山本にぐいっと肩を引き寄せられ、舌を噛みそうになって慌てて口をつぐんだ。
 引っ張られるままポスンと肩口に凭れかかると、ふわりと慣れた匂いに包まれる。

 「・・・あったかい」

 ぽつんと言ったら、山本がああ、と、くすぐったそうに笑った。

 「今日寒ぃもんなー。オレは走ってきたから暑ぃくらいだけど」


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