山本×ツナ1

□1日遅れのプレゼント
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ばちりと目を開けると、カーテンの隙間から射しこむ朝の光。

「・・・・ん――――?」

白い天井は、俺の部屋のものじゃない。
ええと・・、ああ。そうだ。ツナの家に来てたんだっけ。

んで。

(・・・・・・・・・なんだっけ?寝る前のこと、よく覚えてねえや)

ああそうだ、それどころじゃねえ。俺9時から部活あるんだ。
掛け時計を見るとまだ8時。これなら余裕で間に合う。
とりあえず起きるかと、身動きした途端、

「――――・・・ツナ?」

ピン、とシャツが引っ張られる感覚がしてよく見ると、色白の細い指がしっかり俺のTシャツを掴んでいる。
うつ伏せで俺の腹の上に片腕を乗っけたままスヤスヤ寝ているのは、まぎれもない、俺の大親友だ。
ちょいちょいと軽く服を引っ張ってみても無反応。
がっちり掴んだ右手は、俺のシャツを解放してくれそうもない。
まるで母親と離れたくない赤ん坊のようだ。
そんなツナの様子を見て、俺はまざまざと昨日の出来事を思い出したのだった。




**

今年の10月14日は、金曜日。
次の日学校が休みってことで、ツナの家には馴染みのメンバーが大集合した。
そりゃあもう、家の中にぎゅうぎゅうなくらいの人数で、夕方から始まったパーティーはヒートアップして、最終的にはどんちゃん騒ぎだった。
女子メンバーは夜遅くなる前に帰ったけど、男子メンバーはそのままツナん家に泊まる予定だったから、夜更けまでパーティーは続いた。

無礼講が増したのは、ツナの親父さんから届いた、イタリアの高級葡萄ジュースのせいだ。
親父さんからの手紙には、旨いジュースだとしか書いてなかったらしいが、飲んでビックリ、中身は正真正銘のワインだった。
ラベルがイタリア語だったから、ツナのお袋さんも読めなかったんだな。
深夜になって飲むものがなくなり、ツナが持って来たのを面白がって皆で開けた。
笹川センパイと青葉センパイは酔った勢いでバトり初めてしまい、近所迷惑なので河原へ行くことをおススメした。
エンマがワインを1口飲んでパタリと寝ちまったせいで、結局残ったのは俺とツナと獄寺という、いつもの面子。
ちなみに、俺はたまに親父に日本酒をわけてもらったり町内会のおっちゃんに飲まされたりしてるから、わりとアルコールには免疫がある。
獄寺は普段から飲んでるだろう。確実に。
ツナはちょっと心配だったから、俺と獄寺でうまいことペース配分に気を遣って、あんま飲ませないようにした。

『――やべ。そろそろ寝ねーとな。明日起きらんなくなっちまう』

コトン、グラスを置いた俺に、ツナが不思議そうな顔で首をかしげた。

『明日部活あるって言ったろ?わりぃけど先寝るからさ、ツナと獄寺はもうちょっと飲んでろよ』

とろん、と眠そうなツナの顔を見れば、明らかに寝落ち寸前なのは分かっていた。
アルコールが回ってほんのり上気した肌が色っぽい。
こんな旨そうな状態のツナを放っておくのは、あまりにも勿体ないし危険だが、下手に理性を飛ばして取り返しがつかなくなる事態を恐れてるのは、俺も獄寺も同じだ。
まぁ、一応保険がわりに、この場で寝っ転がってツナの横で寝てやるつもりだけどな。

『・・・・・・・・・』

『ケッ、お前なんぞとっとと寝てろ!つかそのまま永遠に目覚めんな』

『おいおい、いつもに増してひでぇなー。獄寺も結構酔ってんだろ』

『誰がこれぐらいで酔うか、アホ!ワインが飲めなくてマフィアできっかよ!!』

『おい・・・分かったからボトル振り回すなよ、ツナに当たったらどうすんだ?とりあえず落ち着けって!
なぁ、ツ――――・・・ツナ?』

そこでハタと気付いた。ツナの様子が変だ。
俯いて表情の見えないまま、ツナがゆらりと動く。
そうしておもむろに俺のシャツをぐっと掴んだ。かと思ったら、そのまま半身乗り上げ、華奢な身体が俺の上に圧し掛かってきた。

『ツ・・・・・・ツナ!?』

『じゅっ・・・・・・10代目!?』

俺を見下ろすツナの目は完全に据わっている。

『あ――・・・。この体勢は積極的で嬉しいけどよ。俺としてはどっちかってーと逆のポジションの方が好みなんだけど・・・・・・?』

ついでに言うと、2人っきりのときにもう一度お願いしたい。
なんてバカなことを考えてたら、獄寺から素早く鉄拳と暴言が飛んできて、ひょいとかわしたところへ、ツナがぽつり声を出した。

『・・・・・・・・・やだからな』

『『 は?? 』』

トロンと重そうな瞼はそのままに、突然うるうると瞳を揺らめかせたと思ったら、突然ツナが俺に抱きついてきた。

『山本が行っちゃうなんてヤだ〜〜〜〜〜っ!!』

『『 なぁっ!!?? 』』


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