山本×ツナ1

□いっしょに帰ろう
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清掃時間の終わりを告げる校内放送が流れている。
待ちかねていたかのように、クラスの面々は動かしていた手を止め、掃除用具の片づけに入りだした。


(――――どうしよう)

このあとはHRだけ。
それが終われば、部活のない生徒は下校の時間だ。

(――――でも、山本、何も言ってなかったし。オレの勘違いかもしれないし)

きゅ、と思わずホウキの柄を握りしめる。
こんな小さなことでいちいち悩む自分が本当に嫌になる。
だから自分はダメツナなんだと叱咤して、心細さを誤魔化すようにずっと握りしめていたホウキを用具入れに戻した。
教室はざわざわしているのに、何故か自分の周りだけが別世界のように静かな気がするのは、多分緊張してるから。

(聞いてみて、変な顔されたら嫌だな・・・って、山本に限ってそれはないか。けど、逆に困った顔されたら・・・―――)

ちょっと、ショックかも・・・。
その顔を想像しただけで背中に冷たい汗が流れた。
そうなるとまた決心がつかず、う――ん、とまた唸って、悶々と考えながら自席に着く。


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